フェアリィ・ダンス編〜妖精郷の剣聖〜
第五十八話 常識と非常識
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て飛び立っていく。間近に迫った白い山脈。絶壁のごとくそびえ立つそれの中腹に巨大な洞窟がぽっかり黒い口を開けていた。通り抜ける風が不吉な冷気のように見え、まるで息をしているように感じる。
「・・・・・・この洞窟、名前はあるの?
「≪ルグルー回廊≫っていうのよ、確か。ルグルーっているのが鉱山都市の名前」
「ふうん・・・つか、結構暗いな。こういう時ってインプって種族は楽だよな」
「まぁ、確かにそうよね。そう言えば、キリト君って魔法スキル上げてるの?」
「あー、まあ、種族の初期設定のやつだけなら・・・使ったことはあまりないけど・・・」
「あー、なるほど」
リーファの言いたいことが分かったソレイユが言葉を引き継いだ。
「洞窟はスプリガンの得意分野だからな。灯りの魔法とかいろいろあるはずだ」
「えーと、ユイ、分かる?」
「もう、パパ、マニュアルくらい見ておいた方がいいですよ。灯りの魔法はですね・・・」
そうして始まるユイの魔法レクチャー。それを見たソレイユはどっちが親だかわからなくなったという。
一分ほどして魔法の詠唱に成功したキリトのおかげで暗視能力を付与することができた。
「わあ、これは便利ね。スプリガンも捨てたもんじゃないわね」
「はぁ・・・」
リーファの言葉を聞いたソレイユは静かに溜息を吐いた。今度、シェイドあたりと戦わせてみるのも面白いかも知れない、なんてことを考えながら。
◆
「うええーと・・・アール・デナ・レ・・・レイ・・・」
洞窟の中を歩きながら覚束ない口調で魔法の詠唱をするキリト。ユイとリーファがキリトに魔法の講義をしている最中である。ちなみに今は洞窟に入ってから二時間が経過している。その間にオークとエンカウントすること二回、コウモリもどきの群れにエンカウントすること三回。そのすべてをキリトは剣のみで蹴散らしてきた。さすがに魔法が主体のゲームでそれはどうかと思ったリーファが魔法の講義をはじめ、今やユイと二人がかりでキリトに魔法を教え込んでいるのだ。
「ふぁ〜」
眠そうに欠伸をするソレイユ。剣技と魔法を織り交ぜながら戦っているソレイユに魔法講義は無意味。ましてや、インプの中でも最古参の純粋メイジであるルシフェルに教わっていたのでそんなことを今更必要ないのだ。
「俺もうピュアファイターでいいよ・・・」
何とも情けない声が洞窟内に響いた。だが、リーファは手を緩めることはしないらしい。なおも続く魔法講義。それに終止符を打ったのはルルルといった電話の呼び出し音にも似たサウンドエフェクトだった。
「あ、メッセージ入った。ごめん、ちょっと待って」
「ああ」
「あいよー」
そうして、胸より少し低い位置に出現するウインド
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