第八十五話 【Fate編】
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記憶は無い。何処の英雄と問われても返答に困る」
ガタンッ
「お爺様!?」
少女が物音を立てた老人に驚いて振り返ると、その老人は手すりに捕まるようにして何とか立っているが、その表情から絶望の相がうかがえる。
「おぬしの宝具は…」
まぁ、ソルが宝具と言えなくは無いだろうが…
「宝具は英雄を英雄たらしめる伝承の具現化なのだろう?伝承そのものを持っていない俺が宝具なんて物を持っているわけ無いだろう」
どうせ白い少女を越して聞き出すのだろうから、老人に問われた問いに答えた。
「ではおぬしは何者なんだ?何故おぬしはそこに居る!?」
「さて。それは俺が聞きたい。確かに死んだような記憶は有るが、その魂を強引に引っ張ってきたのはそっちだろう?」
俺の所為じゃないだろうと言う。
「サーヴァントが英霊ではなく…ただの人間霊だというのか…」
そんな事を呟くと老人はフラフラと聖堂を後にする。
余程期待はずれだったのだろう…元から年を取っている風だが、さらに10年は老け込んだように見えた。
残されたのは白い少女と俺の二人だけ。
「さて、それじゃあえっと…」
目の前の少女を何て呼べば良いか逡巡していると少女の方から言葉を発した。
「イリヤスフィール・フォン・アインツベルンよ。イリヤで良いわ」
「なるほど」
イリヤ…ね。これは後で記憶を穿り返さないといけないな。
「それではイリヤ。…君は俺との契約を望む?」
「はぁ?望む望まないもなくあなたは私のサーヴァントでしょう」
「確かにそうだ。…だが、君のおじいさんは俺の事がお気に召さないようだぞ?」
「呼び出しちゃったものはしょうがないじゃない。あなたはわたしのサーヴァントよ」
面倒だからこのまま契約を切ってもらっても全然良かったのだけれど…それは俺がこの世界に来るときに取り入れた何かが邪魔をする。…一体これはなんだ?
「了解した。サーヴァント・チャンピオン。君の騎士として君を守るとここに誓う。これで契約は完了した」
と、自然に守ると口から出た事に自分自身で驚いた。…自分の中で何かが変質しているように感じるが、どうこうする事は今の俺にはできそうに無い。この原因はおいおい究明する事になるだろう。
…
…
…
さて、現状確認である。
どうやら今の俺はサーヴァントとして呼び出され、このアインツベルンの城に滞在しているが、どうやら聖杯戦争まではま二ヶ月ほどあるらしく、聖杯からのバックアップが無い。
つまり、今の俺を現界させている魔力の全てはイリヤが支払っていると言う事であり、俺の一挙手一投足にも相応の魔力を消費する。
現界時に得たスキルでイリヤへの負担は軽減し
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