第八十五話 【Fate編】
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中で支配者層である彼ら貴族が国を憂慮した所で平民である彼らの民意は集められない。平民にしてみたら支配者なんて誰でも変わらないのだから。
貴族である監視対象の人物達に国を取り戻す手伝いをして欲しいと言われても彼には『飴を取り上げられた子供が駄々をこねている』としか感じられなかったのだろう。その申し出をすげも無く断った。
しかし、聞き入れないのなら力で従わせると言う暴挙に彼らは出た。それが彼をさらに拒絶させると知らないで。
強大な魔術師との戦いは、辛くも彼の勝利に終わった。襲ってきた人と彼との地力の差は相手の方が圧倒的に優位だったが、戦力の差は彼を勝利へと導いた。
しかし、その後彼は黒い空間に捕まってしまい、世界からはじき出されたようだった。
景色が霞み始める。そろそろ夢から覚めるのだろう。
…
…
…
ベッドの上で上半身を持ち上げたわたしは今朝見た夢を反芻する。
「あれは…チャンピオンの過去…だよね?」
あの夢に出てきた銀色のドラゴンは見間違えようが無い。
契約を交わしたサーヴァントの過去を夢に見ることがマスターには有るらしい。
しかし、その姿が今のものと全然違っていたから確証が持てない。
「それに…」
ドラゴンやグリフォン、その他の幻想種と言われる猛獣が当然のように跋扈していた。あれでは神代の時代ではないか。
あれがもし彼の生前の事を夢で見ていたのだとしても、確かに彼を英雄にまで上り詰めるだけの物語は存在していない。
「やめやめ!考えたって仕方の無いことよね」
それに聖杯戦争が始まる夜までは冬木の街に遊びに行きたいしね。
ベッドから起きるとリズのドレスを着せてもらうとセラが朝食を持ってくる。他人から見れば豪華だと言われるそれもわたしにしてみればいつも食べている普通の事。
特に美味しいとは感じずに胃に納めると食後の紅茶と一緒に可愛い色をしたマカロン・ムーが一つちょこんと添えられていた。
「セラ、このマカロン・ムーは?」
どうしたの、と問えばセラは表情をしかめて押し黙り、代わりに返ってきたリズによる返事は予想外のものだった。
「チャンピオンが作った。とても美味しい。イリヤもきっと気に入る」
「え?チャンピオンが作ったの?」
「はい…お嬢様の口に合えばよろしいのですが…」
不承不承とセラも肯定した。
「その心配は無い。セラは美味しいっておかわりを要求してた」
「こらリズっ!」
頬を赤らめリズを諌めるセラだが、リズには効果が無い。
「へぇ…」
そう呟くとわたしはその可愛らしいマカロンを口にした。
「美味しい…」
それは今まで食べたどのマカロンよりも美味しかった。このマ
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