第八十五話 【Fate編】
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武器である日本刀までもが形を変え、その形が宝石を抱いた杖のような物に変わった。
しかし、変化はそれだけではなく…
「なんだぁ?てめぇ、女か?」
ランサーの声にも困惑が混じる。
それはわたしも一緒だ。なぜなら本当にチャンピオンの性別が男から女に変わっていたのだから。いや、性別が変わったというより存在が…魂そのものが変わったのだと感じられた。
「あなたは…だれ?」
目の前の女性は視線だけわたしによこして答える。
「チャンピオンのサーヴァントだよ。イリヤちゃん」
「うそ。だってチャンピオンは男じゃないっ!」
「まぁ、その疑問に答えるのは後にしよう。今は客人の相手をしないとね」
そう言ったチャンピオンと名乗った女性は手に持った杖を変化させ、その形状を槍へと変えた。
槍といってもそう見えるだけで、彼女の持っている槍は機械的で、穂先は魔力で出来ていた。その首元にはリボルバー式弾倉がついていてその機構はチャンピオン…アオの持っている日本刀に通じるものがあった。
「ほぉ、俺相手に槍で勝負を挑むつもりか」
「槍の扱いでは私達の中ではわたしが一番得意だからね。槍の英雄に何処まで通じるのか、試してみたくなったの」
「ほう」
そう言ったランサーの気配が変わる。戦闘態勢へと移行したようだ。
二人とも深く腰を落とし、槍を突きつける。
『ロードカートリッジ』
ガシュと薬きょうが排出され、チャンピオンの体に魔力が迸った。あの一本でわたしが精製できる一日分の魔力が込められている。
「なんだ、その槍は…それがおめぇの宝具って訳か?」
伝説の具現にしては嫌に機械っぽいチャンピオンの槍をいぶかしむランサー。
「ううん。この子はわたしの杖だよ」
「ならキャスターじゃねぇのか?」
「槍を構える魔術師が居ると思うの?」
「ちげぇねえっ!」
ジリッと足を擦りながらどちらが先に仕掛けるか、タイミングを計っている。
さて、どちらが先に動いたのか、わたしの目ではわからなかった。
残像を残し、両者は地面を駆け、その槍がぶつかり合う音が聞こえてくる。
ガキンガキンッ
甲高い、鉄同士がぶつかり合うような音が静かな倉庫街に響き渡る。
迫るランサーはその最速のクラスの名に恥じない速度で地を駆け回り、繰り出される槍の冴えは正に流星のようだ。
常人ならばその一刀で心臓を貫かれているであろうランサーの技。しかし、それはチャンピオンの振るう槍で弾かれて決まらない。対するチャンピオンの攻撃もランサーのサーヴァントだと言われれば信じてしまいそうなほどに速く、正確に繰り出され、その攻撃で逆にランサーは追い詰められていく。
「はっ!こりゃなかなかだ
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