第5章 契約
第66話 おまえの名前は?
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殺人祭鬼の方からして見ると、折角行った策謀が、王家の長男とオルレアン家の長女が結婚する事に因って、より強固な結びつきを作り上げる土台とされ兼ねない。
このガリアは二極に分裂しているけど、今のトコロ第三の勢力と言う大きな物は存在していません。そして、そのトップ同士の家が婚姻と言う形で結ばれたのなら、シャルル個人の思惑は兎も角、オルレアン家の側の問題は無くなる。
平安時代の藤原氏のように、権力者の外戚となって権力を手にした一族と言う例はどの国の歴史でも度々現われていますから。
故に、邪魔な王子を幼い内に排除する。そう言う短絡的な行動に出る連中が現れる可能性が、ゼロでは有りませんから。
それ故に、信用出来る人物。西の独立を企てて居るようなガスコーニュ以西の地方からは遠いマジャールの地。それも、強力な竜騎兵を率いるマジャール侯爵の元に預けると言うのは首肯けはするのですが……。
ただ、その発表のタイミングが少し出来過ぎのような気もするのですが……。
上空で訓練飛行中の水上機から視線を外し、俺の方向に向き直ってから、少し怪訝な表情で俺を見つめるジル。
そして、
「私は未だ若輩、及び軽輩の身ですから、ルイ殿下に御目通りが叶った事は有りません。ただ、マジャール侯爵や、南百合騎士団の長ランスヴァル卿の話から愚考するには、かなり優秀な御方らしいですから、これでこのガリアも安泰と言うべきでしょうな」
騎士に相応しい誠実さでそう答えるジル。王に対する絶対の忠誠。これは、騎士に取って必要な美徳なのですが。
ただ、そのカルロマンや、ランスヴァルと言う人物たちにかなり問題が有ると思うのですよね、俺としては。
カルロマン。現地、マジャールの地での名称で言うとマジャール侯カルマーン。
言わずと知れた龍の姫。シモーヌ・アリア・ロレーヌの父親。
そして、南百合騎士団の長。エディナール・ランスヴァル。この人物は、ジョゼフの股肱とも言うべき人物。国内の貴族からは嫌われた王太子時代から彼に付き従い、ジョゼフの第一の腹心と言えば、この人物を上げると言われる人物。
もっとも、その嫌われた理由が、オルレアン公シャルルを王に即位させたい連中のネガティブ・キャンペーンの結果で有った可能性が高いので……。
更に、ジョゼフ自身が当時はそのウワサを否定する事もなく、王に即位して、シャルル暗殺の後に、国内を二分しようとした売国奴に等しい貴族連中に容赦ない鉄槌を下して居るので……。
ここに、彼らの何らかの意図を見つけられるような気もするのですが。
例えば、領地持ちの貴族の数を減らして、官吏としての、一代限りの貴族。つまり、騎士階級の数を増やそうと言うような……。
もっとも、その部分に関しては、今は重要で
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