第5章 契約
第66話 おまえの名前は?
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れに、製紙工場を建設した時に、最低限の工作機械は調達して有りますし、当然、発電施設は工場に隣接して造って有りますから。
ガリアの防衛力を大きく下げると、この冬に飢饉などが発生する可能性の有るこの世界の状況は、周辺各国がガリアに侵攻し易くなる状態を作り上げる事と成り、世界の混迷をより深める行為と成りますから仕方がないとは思います。
ただ、それでも尚、超未来の兵器を徒にこの世界に持ち込むようなマネをするのが、果たして仙人としての俺に取って正しい事なのか、と尋ねられると……。
俺には、答える言葉がないのが現状です。
出来る事ならば、今回、異世界から調達した水上機は、他国からの侵略に対する一時的な抑止力。この程度の目的だけに使用してくれたら良いのですが。
「そうしたら、ラヴァル卿。ひとつ、聞いて置きたい事が有るのですが……。問題はないでしょうか?」
何か、少し奥歯に物の挟まったような俺の問い掛け。視線は相変わらず、上空に舞い上がりつつ有る水上機たちの方向に向けながら。
そんな、俺に対して、
「何でしょうか、シノブ殿」
……と、あっさり首肯してくれるジル。
それならば、
「このガリアの王子。先ごろ発表されたルイ王子に関して、聞いて置きたいのですが……」
……と、矢張り躊躇いながら問い掛ける俺。
その瞬間、上空を訓練飛行中の強風が、見事な旋回を披露して見せたのでした。
今回のガリア両用艦隊主力のクーデター騒ぎの顛末と同時に、ジョゼフ一世。巷間では聖賢王ジョゼフ一世と呼ばれている王に王子が存在する、と言う発表が公式に為されたのでした。
名前はルイ。現在十五歳。イザベラの異母弟に当たる人物。所謂、妾腹に因る男子で有った事と、ジョゼフとオルレアン大公の間に王位の継承の際に争いが有った為に、サリカ法が存在するガリアでは男系男子の血を継ぐその王子の身に危険が迫る可能性が高かったが故に、カルロマン・ロレーヌ=マジャール侯爵の元で、彼の侯爵の実子として育てられていたらしいのですが……。
確かに、ジョゼフの元に男子が居たのなら、サリカ法の正式な定めに従い、王位はジョゼフから、その王太子ルイに継がれて行くのは正しい流れなのですが。
まして、その身に危険が迫る可能性が有ると言うのも正しいでしょう。実際、オルレアン大公はその流れに逆らおうとして生命を落とし、タバサの母親も精神を崩壊させられましたから。
オルレアン派から考えると、シャルルのトコロに女の子しかいない状態で、ジョゼフのトコロに男の子が誕生すると、間違いなくジョゼフの方に次の王位が行く事が決定して仕舞う為に、オルレアン公シャルルが王に即位した後に自らに約束されている地位などが、夢幻と成って仕舞います。
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