第5章 契約
第66話 おまえの名前は?
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「我、世の理を知り妖を見る」
全身を膿疱。末期の天然痘の症状に覆われた少女に対して、見鬼を行う俺。
その刹那。
少女に纏わり付くように存在する、彼女と同じような膿疱に覆われた亡者の姿が浮かび上がった。
その数、五体。
「疱瘡神。いや、そのレベルには達していない、何れも疫鬼と言う程度の存在か」
そう呟いた後、口訣を唱え、導引を結ぶ。
そして、右腕を一閃。
その瞬間、少女に纏わり付いていた、疫鬼が全て祓われる。
いや、これは祓ったのではなく、返す仙術。疫病を起こす鬼で有ろうとも、簡単に陰陽の気に返して良い訳では有りませんから。
特に、この少女に纏わり付いていた疫鬼は、薄らとでは有りますが、この少女との間に因果の糸が繋がっているように見えました。
これは、先ほどの鬼が、彼女に取って某かの関係が有る人物の成れの果てだと言う事。
但し、故に一時的に祓っただけなので、因果の糸を辿って疫鬼が再びこの少女に纏わり付く可能性が高いのですが。
現在のブレストの街を襲っているこの異常事態の場合は……。
一時的とは言え、疫鬼を祓った事が良かったのか、途切れがちで有った少女の息が苦しげでは有りますが、それでも死を予感させる物ではなく成りました。
まさか疫鬼が祓われた事が判った訳ではないはずですから、我が子の様子を敏感に感じ取ったと思われる彼女の母親が、俺に対して何度も、何度も頭を下げる。
そんな母親に対して、
「お嬢さんは未だ予断を許さない状態ですから、家には連れて帰らずに、この臨時の病人収用施設に留まって居て下さい。経過を見なくちゃいけませんからね」
そう話した後、扉の直ぐ傍に居た男性。実は魔将ハゲンチの人化した姿の男性に連れられて、別室の方に案内されて行く母親と少女。
そこで、少女は点滴などの処置。少なくとも、このハルケギニア世界には未だ存在していない、地球世界の医療に因る治療を受ける事と成ります。
もっとも、こんな物は気休め。先ほど、ハゲンチに連れられて部屋を出て行った少女は明らかに末期の天然痘の症状を示していましたが、それが今朝から急に体調を崩したとすると、それは別の意味も持って来ると思いますから。
何故ならば、普通の天然痘の場合、某かの初期症状の後、顔などを中心に発疹が生じ、そして、ソレが全身に広がって行くもの。
それがいきなり、発疹を通り越えて膿疱。つまり、発疹が化膿した状態に成って居ると言う事ですから……。
その上で、彼女に取り憑いていた疫鬼は、明らかにあの少女と因果の糸が絡んだ存在。
普通の疫病などの場合、こんな事は滅多な事では起こり得ないでしょう。
因果の糸を結ん
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