沙穂暴走
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た上で、金を毟り取ってやるんだから!」
哀れ。ただドニの命令を遂行していただけの大手魔術結社は、鈴蘭の怒りを買ってしまったようだった。
彼女が世界中に建築させた病院には、物理精神複合結界の他にも、探知結界など様々な効果の結界が張り巡らされている。争いごとを禁止している場所で、万が一にも戦闘行為が起きてしまった場合、それを即座に察知して駆けつける為だ。その結界の効果によって、自分の建てた病院に、何か特殊な術が掛かっていることを察知した彼女は、そこにまつろわぬ神がいるのだと勘違いした。すぐさま白井沙穂と自分の双子の妹である名古屋河睡蓮を連れて転移した。長谷部翔輝は、船の護衛として残ってもらった。戦力は少なくなったが、それでもアウター数名とカンピオーネという何とも豪華な戦力が護衛として付いているのだ。何が起きても対応出来るだろう。
・・・ただ、ここで彼女はミスを犯した。
白井沙穂を連れてくるべきでは無かったのだ。長谷部翔輝を連れてくるべきだった。複数のまつろわぬ神が暴れているという情報で三人連れてきたのだが、沙穂を連れてきたのは悪手であった。沙穂一人を留守番させては、船に何かあった時に柔軟な対応が出来ないかもしれない。あの船にはアリスなどの超VIPも乗っている為に、戦いの最中でもある程度冷静さを保って戦うことが出来る翔輝を置いてきたのだが・・・。
この場合、この配慮が完全に裏目に出た。
それは何故か?
「む・・・?変な場所に出たであります。鈴蘭殿たちは何処でありますか?」
何故か、鈴蘭の転移術式の座標がズレたことにより、沙穂だけが病院の七階へと転移していた。・・・のだが、彼女の目に映るのは、一面に広がるサーモンピンクの肉の世界だった。
そう、彼女と、まつろわぬナイアーラトテップの相性は、致命的と言ってもいいほどに悪かった。相性が悪いどころではない、最悪である。そもそも、まつろわぬナイアーラトテップのこの権能は、生物に直接掛ける訳ではなく、空気感染タイプである。呪詛とも言える特殊な呪力を大気中に流し、それを体内に取り込んだ生物の精神を破壊する権能。これは、自身に掛かる魔術や呪いを無効化してしまうカンピオーネの体質でも、防ぐことが不可能なものである。何故なら、カンピオーネに対しても、経口摂取ならば魔術も効果を及ぼすからだ。
そして、この権能は、個人個人との相性の差が明確に出るタイプの権能である。たったの数分で幻覚を見始める者も居れば、一日経っても平常で居られる者もいる。・・・最終的には、全員が精神崩壊を起こすことには変わりないのだが、そこに至るまでの時間に幅がありすぎるのだ。
その点、何度も言うようだが、沙穂は最悪の相性であった。何故なら、そもそも元から狂っているから。
人の
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