沙穂暴走
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そもそも。
【剣の王】サルバトーレ・ドニの命令だけで、隠しきれる訳が無かったのだ。
鈴蘭たち【伊織魔殺商会】は、確かに日本を拠点として活動している。・・・が、その首領である『聖魔王』名古屋河鈴蘭には、距離の概念など存在せず。そして、今や彼女の行動一つで世界経済が変わるとすら言われている莫大な資産と影響力を使えば、世界各地にネットワークを構築することなど容易い。
これが一般企業などだったら、また結果も変わっただろう。いくら資金と地位があっても、法律などに縛られる為にどうしても動きは鈍くなる。その地域を縄張りにしている様々な組織との折り合いもあるのだし、そういったものの影響で、ネットワークや人脈構成などには、多大な労力が掛かる。
しかし、彼女は違う。
彼女は『魔王』である。
法律?なんだそれは?
地域に蔓延る裏組織?そんなものは知らない。
彼女に常識は通用しない。彼女に法律など適用出来ない。彼女を縛り付けようとするならば、国が滅びることを覚悟しなければならない。
それ程の存在なのだ。『カンピオーネ』とは。
障害など、合ってないようなもの。彼女が世界各地にネットワークを構築するのに、一ヶ月も掛かっていない。ドニの牽制など意にも介さない人間は、この国にも大量にいるのだ。まつろわぬ神という、その地域に住む生物全ての敵である災害が来て、それを早期に解決出来る手段があるにも関わらず、自分の楽しみの為だけに行動を起こすドニを信用など出来るはずがない。直接彼の庇護を受けている大手魔術結社は彼を裏切ることは出来ないが、フリーの魔術師は彼の命令を破った報復など恐れない。彼らには、ドニとの戦闘に勝利した鈴蘭が居るのだから。戦いに絶対などないため、もしかすれば鈴蘭が負けるかもしれないが、【伊織魔殺商会】は四人ものカンピオーネを擁する、前代未聞過去最大の魔術結社。彼女を倒しても、まだ他に三人もいるのだ。
ただ、自分の報復を恐れずに鈴蘭たちに情報を渡す人間がいるだろうということを、ドニは予測していたようだ。子飼いの魔術師たちを使ってその人間を襲撃したりして、情報が渡るのを可能な限り遅らせていた。今この国では、まつろわぬ神の被害の他にも、鈴蘭側の魔術師と、ドニに命令された魔術師との戦闘まで勃発していたのだ。相変わらず普段は抜けているくせに、戦闘関係になると知恵が働く人間である。
だが、そんな小細工がいつまでも通用するはずがない。つい数十分前、鈴蘭はこのサルデーニャ島でまつろわぬ神による異変が起きていることを知った。そして更に、彼女が建てた病院で戦闘行為が発生していることを、彼女が察知出来ない筈がない。
「なにを考えているのかなあのバカは!これが終わったら、協力してた魔術結社共々お仕置きし
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