十八話
[9/11]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
イフォンはアイシャに言う。
「レイフォンは、何かしたいことは?」
「特にないかな。お金は必要なだけ貯まったし。時間もそんなにあるわけじゃないから。アイシャは?」
「同じ。特にないな。……本を読めれば、読みたいかもしれない」
もそもそとサンドイッチを食べながらアイシャが答える。
(……食べるのゆっくりだ。一口一口が小さいなぁ……)
「へー、なら適当に街を回ってみる? どこに何が有るか知らないし」
どうでもいいことを考えながら返答する。
そもそもレイフォン的には本を読みたいというのが凄い。読んでいるだけで頭が痛くなってくるじゃないかと思う。
そんな事を思っているとふと気になったので言う。
「なら、目治す? それだと本読みづらいと思うけど」
「かかるでしょう、お金。別にいいよ」
「お金だったら結構あるし、どれくらいかかるか分からないけど大丈夫だと思うよ。傷もあるし」
「……そう。でも、別に気にしないから、傷とか」
「なら、目だけでもいいけど治した方が良いと思うけど……」
「分かった。考えとく」
長い髪で隠された方の眼を見ながら、そんなものなのかな、とレイフォンは思う。
消そうと思えば消せたが、残っている自分の腕の傷跡の様な物だろうか。
そんな話をしながら、二人は食事を続けた。
それからの八日間、レイフォン達はヨルテムを回った。
古本屋に行って立ち読みをしたり((レイフォンは頭痛を堪えた))。
シンラ達と会い、露骨に怪しい店に入ったり。
都市の同年代の子供と知り合ったり、色々とした。
アイシャの眼を治そうと医者に連れて行き、完治するまでの時間と放浪バスの都合で後回しにした事もあった。
シンラ達が出発する際、プレゼントとして各都市の特産リストなんていう訳の分からないデータチップを貰ったりもした。
そんなこんなで八日間、色々と遊んだりして時間は過ぎて行き、レイフォンとアイシャはグレンダン行のバスへ乗り込んだ。
彼女は走っていた。
活剄を全開にし、建物の屋根を地の如く足場に使い駆けていた。
思い出すのはつい少し前言われた言葉。
???そういえば、今日帰ってくるんでしたっけ。もう着く頃でしょうかねぇ……
彼女の言葉に嘘はないし、信憑性は確かだ。
何故もっと早く言わないのか。そう言ったら、驚いた顔が見たかった、と言われ成功したとクスクス笑われてしまった。
彼女に色々言いたいことはある。だが、そんな事よりも心が急いた。
考えるよりも先に、飛び出していた。
まず何て言おう。何をしよう。
走る間にも思考は止まらない。
彼が帰ってきたらどうするか。それを話し合った相手もいるが、
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ