十八話
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し、支えにもなるのだと今回知った。
なら、どこか一か所に居た方がいいんじゃないかと、なんとなくそう思う。
「ここの都市なら、何かに不自由することも少ないと思う」
グレンダンよりもずっと豊かで、人の流れが有る場所だ。少なくともグレンダンで昔あった食糧危機の様なことはないだろう。
あんなことがまた起こるとは思わないが、豊かだという事は大事だ。
「そう……」
アイシャはそう言い、レイフォンの方を見て続ける。
「レイフォンについて行くのは、駄目ですか?」
「……うぇ?」
思ってもいなかった返答に変な声が出てしまう。
シンラが口を開く。
「それも考えたが、直ぐに却下した」
「ええ。子供に子供を預けるなんて認めるのは、大人として責任が問われます。見知らぬ誰か、なら放っておきますが、知った相手ならそういう訳にもいきませんので」
ポテトをつまみながら、エリスが言う。
「ここ一年近く見てきましたが、レイフォンは十分子供です。任せるわけにもいきません」
それは、どうしようもないほどに正論だ。
だからレイフォンとしては特に言う事はない。
それらを聞き、そう……と呟き、それでもアイシャは首を縦には振らない。
「私はレイフォンと一緒が良い」
表情を揺らさないまま、アイシャが再度意思を言う。不安からかその手のフォークを軽く回して持ち替える。
困ったなと思いながら、レイフォンはアイシャを見る。
(……あれ? 何か……)
ふと、心に何かを感じた。
アイシャの表情から感情は読めない。だが、何だか不安定さを感じる。
小さく揺れる瞳に、表に出さないままに抑えられているような、不安の様な物が感じられる気がする。
これに似たものを、どこかで見たような気がする。
何故だか、放っておくわけにはいかない危なさ、そんなひっかかりがある。
「そういった気持ちが有るのは分かるが、流石にまだレイフォンは子供だからねぇ……負担も大きいだろう。やっぱり一番妥当なのはここに預けていくことじゃないかエリス」
「そうですね。まだ決まってませんが、引き取ってもらうなら話は早い方が……」
(……思い出した……)
二人の話に思い出す。
昔の、妹の姿だ。
食糧危機の時、他の孤児院に引き取って貰った一人。その後どうなったのか知らない自分の兄妹の一人だ。
状況は違うが、なんとなくその姿がダブってしまう。
どこにいくのか分からない。違う所になんて行きたくない。そんな思いを抱いていたであろう彼女を思い出す。
「連れて行くの、ダメでしょうか」
だからなのか、つい、レイフォンは口を開いていた。
「……何を言っているレイフォン」
「ええと、だから一
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