十八話
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だよ。彼女の身の振り方だ」
「……ああ」
少し考え納得する。
アイシャの立場ははっきりとしていない。
汚染獣に滅ぼされた都市の生き残りで、身寄りはいない。
旅団のメンバーでもなくレイフォンの関係者でもない。文字通りの孤児だ。
「今の所上がっている案は二つ」
向ける視線を変えぬまま、ピッ、と人差し指を立てながらシンラが言う。
「@ここ、ヨルテムの孤児院に預ける。まあ、これが一番妥当と言うか、普通だね。特に言う事はない」
家族のいないものは孤児院へ。
レイフォンもそれと同じ境遇だ。妥当、という言葉には納得できる。
続き、中指が立てられる。
「A僕達が連れて行く。そのままメンバーに成ってもいいし、途中で気に入った都市が有れば降りてもいい。人生経験だけは無駄に積めると思うし、波乱万丈な人生を約束しよう」
親類縁者がいないのならば、少しでも付き合いのある者達と共に。
さほど長くはないがあの都市から連れ出し、共に生活してきた相手だ。誰一人知り合いのいない都市に残されるよりはいいかもしれないね、とシンラが言いその手を小さく揺らす。
「アイシャ・ミューネス。君はどっちを選ぶ?」
疑問でも無くどちらかへの肯定でもなく、アイシャの返答は無言だった。
無表情は変えぬまま、見つめるシンラへ向ける視線が細まりフォークを握る手に力が入る。
「不安なのも分かる。だが、君の意見を無視して決めるわけにもいかない。人生を決める判断にもなる。出来れば自分の意志で決めてもらいたい」
「あの、何で今なんでしょうか。それにどうして僕にも言うんですか?」
レイフォンが疑問を言う。
「ああ、いや。単純に忘れていてね。もうそろそろヨルテムだな、と思ってたらこの事を思い出しでね。それが昨日だった」
「うわぁ……」
「レイフォンとももうちょっとでお別れか、次どこ行こうかなとか考えてたらもう一人いることを思い出してさ。いやいや、疑問を持たず普通に連れてきそうだったよ。レイフォンに言ったのは単純に教えない方が変だからだ。自分だけ知らないとか嫌だろう」
確かに、仲間はずれみたいで確かに何か嫌かもしれない。
「でだ、アイシャ。どっちにするかい? 悩むなら何日か考えて」
「……レイフォンは、どう思う?」
言葉を遮り、アイシャがレイフォンに聞く。
「うーん、聞かれても困るけど……孤児院、かなぁ。僕が孤児院出って言うのもあるけど、どこかにいた方が良いと思う。帰る家が有るって大事だと思う」
思い出すのはリーリンやクラリーベルや兄妹の事。
クラリーベルは違うが、出稼ぎに出たのは彼らの為だ。
誰かの為に頑張って、帰る場所がある。それは大事なことだと思う
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