十八話
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頭痛くなるって言うかリーリン怖いって言うかえーとその……自分で言うのもアレだけど、バカだから苦手なんだ。分からなければ知ってる人に聞けばいいかなって」
それは出稼ぎをする前ならば主にリーリンで、している今ならばシンラなのだろう。
学業を舐めた非常にアレな発言だが、アイシャは特に何も言わずにレイフォンの隣に座った。
そして、レイフォンのそれとは違った別の教材へと手を伸ばす。
「隣で読んでいい?」
「別にいいよ。一緒に読もう」
「ありがとう」
そうして二人は昼食で呼ばれるまで本を読んだ。
ちなみにアイシャの方が読む速さは何倍も速く、理解も速かったというのは言うまでもない。
「もうそろそろヨルテムに付くよ。だから、準備をしておいた方が良い」
昼食の席でシンラはそうレイフォンに言った。
「先ほど山の向こうに見えたらしい」
「今日ですか。まあ、そろそろでしたよね」
「ああ。もう暫くで見えるはずだ。君との契約も今日が最後だな」
「そうですね。寂しいですけど」
一年と数ヵ月。色々あったが、楽しい日々だったと思う。
仲良くなった相手と別れるのは寂しい事だが、仕方がない事だ。
「色々と話すこともあるが、着いてからでもいいだろう。直ぐに別れるという訳でもない」
そう言い、シンラは視線をレイフォンの隣にいるアイシャの方に向ける。
「まあ、そう言う訳だからよろしく頼むよ」
「分かりました」
止めていた手を動かし、食事を続ける。
食べ終わる頃、エリスから都市が見えたという報告が入った。
言われる方角の先、確かに歩く都市が見える。
「あれなら一時間程度で着くだろう。準備しておいてくれ」
ヨルテムの中心街から少し離れた場所。一年以上前、シンラと契約した店にレイフォンとシンラ、それとエリスを始めとした旅団数名とアイシャはいた。
「契約した場所で契約を終える、というのが好きでね。さっそくだが、話を進めよう」
そう言い、シンラは一枚の紙を出す。
レイフォンとシンラ。互いの名前が書かれた契約書だ。
そこに最後のサインが入れられることによって、護衛の契約は終わる。既にシンラのサインは入っている。レイフォンが書けば終わりだ。
契約金は既に受け渡された。名前を書く以外、もうすることはない。
出されたペンを受け取り、紙を手に取って何とはなしに書かれている内容をレイフォンは読み直す。
「結構急ですよね。まだいるんですし、明日でも良くないですか」
レイフォンは次のバスが来るまでホテルに泊まる。だが、今日一日だけは旅団が取った宿の方に泊まることになっている。だからこそ、明日別れる時でもいいのではないかとレイフォ
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