十八話
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もとい回収した教材の本だ。
内容的に何かあるわけでもなく、学術的価値のある物でもないため旅団ではなくレイフォンの個人所有物になっている本だ。
(……連立定方式、だっけ)
この間教えられ、微妙に間違って覚えた名前を思い出す。
レイフォンの最終学歴は初等学校卒である。正直書かれている事なんて理解できないし、理解する気もない。
武芸一本、勉強何それの道を爆進する事を志していると言っても過言ではない。
今こうして読んでいるのも、せっかく持ってきたのだからといった思いや、勉学に対する興味が一応ではあるが無いわけではないことから来る興味故。流し読みの様なものだ。
けっして、僕は勉強がしたいんだ! 勉強をさせろ!! などと幼馴染に聞かれれば殴られて病院に連れて行かれるような愚かな思いからではない。
「何で線を交差させてるんだろ……」
「本。何を読んでる?」
「勉強のだよ。数学ってある」
アイシャの問いに答える。
軽く頷いたアイシャはレイフォンの手元を覗き込む。
「学校で使ったよ、これ」
「へぇ、そうなんだ」
まあ、あの都市に有ったのだからそういうこともあるだろう。
武芸者でもない一般人で、年齢から考えれば何も可笑しい事ではない。
そもそも、武芸に絞り過ぎているレイフォンが色々と可笑しいのだが。
「そこ、この間習ったとこ。レイフォンはどの辺りまで習ってる?」
うぐっ、とレイフォンは返答に詰まる。
正直、本の一番出だしにあるおさらいみたいな所しか分からない。だが、パッと見無表情なくせに何だか期待しているような気がするアイシャの瞳につい目をそらしてしまう。
何故だか知らないが、アイシャは武芸者という存在に尊敬染みたイメージを抱いている様だとレイフォンは感じている。
「一年以上故郷を離れてるからそれ以来勉強してなくって……ゴメン、書いてある事全然わからない」
「? 何で謝る?」
「なんとなく、そんな気がしたから、かなぁ」
そう、とアイシャ納得する。
アイシャはレイフォンが出稼ぎの途中なのだと知っている。食糧危機やそれに関する事など、細かいことは伝えていないが孤児院でお金が必要だからしている、とこの間色々あった際に伝えた。
勉強がダメだという発言を気にした様子もなく、アイシャが言う。
「なら、勉強してるんだ」
「いや、その、ちょっと興味があっただけ。勉強苦手だから」
「勉強嫌い? 生きていくのに必要で、知ることは楽しいって先生は言ってたけれど」
うーん、と何だか言うのを少しためらってしまう。
「武芸だけで生きてけると思うし、そのつもりだから。嫌いじゃ無いんだけど、知って楽しい事と楽しくない事があるし……楽しくない事の多いって言うか
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