第一幕その十
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第一幕その十
「これに成功したら二十エキュだが?」
「同盟締結の他になのね」
「そう。それでいいかな?」
「それでその殿方達はお若くてハンサムかしら」
お金のことは聞いたので次の問題はこの二つだった。
「それはどうなの?」
「そちらも合格だよ。充分ね」
「そうなの。じゃあ一度見てみたいわね」
デスピーナはここまで話を聞いてこう述べた。
「どんな方なのか」
「うむ。実はもうこちらに御呼びしていてな」
「用意がいいわね」
「私は何でも用意周到にする主義だからな」
また笑って話すのだった。
「だからこそじゃよ」
「了解よ。御呼びして下さいな」
「それでは」
ここで懐から鈴を取り出して鳴らす。すると扉のドアからあの二人が出て来た。二人共白いターバンを巻き羽根をつけている。そのうえ濃い付け髭を顔中につけてそのうえそれぞれみらびやかなアラブの服で飾っている。フェランドは赤、グリエルモは青である。
「おお、この方がイタリアの」
「何とお奇麗な」
「イスラムの方なの?」
デスピーナは二人の変装には気付かずにアルフォンソに問うた。
「ひょっとして」
「アルバニアから来られた方でな」
「じゃあこの格好でもキリスト教徒なのね」
「そういうことだよ」
アルバニアは当時オスマン=トルコの領土だった。そこで数少ないキリスト教徒の民族だったのである。
「だからお嬢様方に声をかけても」
「問題はないわね」
「駄目かな」
「お髭が気になるけれど」
デスピーナは二人がつけている髭には目を顰めさせていた。この時代欧州の貴族達は皆髭を剃っていた。だから彼女からしてみれば異様なものだったのだ。
「それでもお顔は御二人共いいわね」
「ではいいかな?」
「まあいけるわね」
アルフォンソに対して頷いてみせる。
「いいわ、協力させてもらうわ」
「うむ、では頼むぞ」
「ええ、それにしても」
ここでデスピーナはふと思うのだった。
「この方々何処かで見たような」
「まずいな」
「気付かれたか?」
フェランドとグリエルモは今のデスピーナの言葉に顔を見合わせた。
「これはちょっとな」
「やっぱりデスピーナは鋭いか」
「まあ気のせいね」
しかし今はこう考えることにした。そうしてそのうえでまた演技を続ける。そしてここで姉妹が出て来たのだった。
「ねえデスピーナ」
「どなたかいらしたの?」
「はい、そうです」
デスピーナは姉妹に対して笑顔で答えた。
「その通りですよ」
「一体誰なの?それで」
「どなたが来られたの?」
「はい、この方々です」
デスピーナはにこりと笑って姉妹に応えそのうえで二人を手で指し示す。
「お嬢様方をお慕いし熱愛されていますよ」
「えっ、そんな」
「い
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