4話
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さして残念でもなさそうに、至極あっさりとアリアは納得した。
逆にキンジは、毒気を抜かれたというか、唖然としてしまう。
「……それだけか?」
「何? もう少し勧誘なりして欲しいの?」
「いや。てっきり、そう来るとばかり思っていただけさ」
「別に諦めた訳じゃないわ。さっきあなたも言ったけど、私、ターゲットを逃がしたことはないの」
アリアは自分の小さな右手を、ピストルの形にしてキンジに向ける。
「キンジ。あなたはもう私のターゲットよ。何があっても、絶対逃がさない」
バーン、と可愛らしい声で付け加えて、アリアはにやりと笑った。
悪い笑顔だった。
その後、もう遅刻は決定していたので始業式はすっぽかし、SHRから出席することに決めたキンジは、一般校舎までの道のりをアリアと話しながら歩いていた。
「さっきはああ言ったが、依頼という形を取るなら、俺が武偵である以上断るつもりはない。命を助けて貰った恩もある。報酬なんかは求めないぞ?」
と、割と本気で言ってやったりしたのだが。
「ノン。私が求めているのは任務を忠実にこなす仕事人でも、お金でつるむ仕事仲間でもないの。私に必要なのは、互いが互いを信頼し合う、強固な絆を持ったーーそうね、相棒、とでも呼ぶべき存在よ」
なるほど、キンジは内心で納得する。だから自分を強襲科に誘った訳か。だが、キンジにも少なからず強襲科には戻れない理由もあったため、その辺は保留にしておく。
アリアの意向にはそぐわないが、探偵科のままでも相棒という存在になれないことはないだろう。
それにしても。ちらり、とアリアの方を見下ろす。
そう、見下ろす。アリアの小さな姿を確認するには、一々見下ろさなければならない。
見れば見る程小さな少女である。
失礼な視線に気付いたらしいアリアが、不審そうにこちらを見てくる。キンジは慌てて目を逸らした。
「でも、前いた場所には中々合う相手がいなかった。気質が合っても、実力が噛み合わない人ばかりだったわ」
それはそうだろうな、とキンジは自分を棚上げして思う。
アリアはSランク武偵だが、同ランクの武偵は世界中で七百十二人しかいない。
先進国日本の首都、東京にあるこの武偵高でさえ、Sランク武偵は数人しかいない(ただし、教師は基本的に自らのランクを秘匿する義務があるので頭数に入れていないが)。しかもSランクは多忙で、しょっちゅう依頼が舞い込んで来るためSランク同士で組むことはかなり少ない。
(まあ、俺みたいなランク落ちや格下げもいるし、試験すっぽかしてるヤツもいるがな)
そういう実力を隠していたり、実力はあるのに運に恵まれなかったりするヤツらを掘り起こすのは一苦労だ。今回はたまたま運が良かったらしいが。
「でも、あなたには信頼に足る実力があるわ。あなたなら
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