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【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
役者は踊る
第二一幕 「非凡人的凡人」
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痛でしかない。子供のうちならまだしも、高校生くらいになると笑って済ませられないことだって存在するのだ。何せ体力的にも成長した学生達だ。一時の場の空気に流されて冒す過ちは、時に驚くほど重い責任を伴う。
「う、そう言われると・・・」
「そこまで気が回らなかったかも・・・」
「他の皆もだよ!?ベル君が病弱なの解っててこんなことをして!仲良くなりたいのは分かるけど少しはベル君の事を考えて行動しなさい!皆は楽しくてもベル君はちっとも楽しくないんだよ!?」
私の言葉に皆が皆思い当たる点があったのか申し訳なさそうに俯く。ベル君の震えも少しずつ治まってきているようだ。ふっふーん!伊達に精神年齢四十路超えてんじゃないのよこっちは?言葉の重みの違いを思い知ったか!とばかりに大して大きくもない胸を張る。・・・自分で言っててちょっと悲しい。いいもん、形重視だもん。
「申し訳なく思ってるならベル君に謝りなさい!」
「う〜・・・ごめんねべるるん?みんなで悪乗りして・・・お詫びにこのパジャマあげるから」
「・・・・・・いらない」
「ゴメン、ベルーナ・・・俺、お前のこと考えてるつもりだったのに・・・」
「わ、私も・・・」
「ゴメンなさい!」
「許してベルくん!」
ベル君は私の背中から顔だけ出して、軽く目を細め、再び私の後ろに引っ込んでしまった。
二人の落胆のうめき声が響く。
「だ、ダメか・・・うう」
「今更都合よすぎる、よね・・・」
「皆何言ってるの?ベル君はもう気にしてないよ?」
「「「「・・・へ?」」」」
「ベル君さっきちょっと目を細めたでしょ?あれは“別に気にしてない”って時の顔だよ。ベル君の心の広さに感謝するんだね!」
・・・・・・・・・・・・
「・・・ヘァ!?」
「ファ!?」
「ち、ちょっと待ったぁ!!」
「佐藤さん、今のそれだけでベル君が何考えてるか分かるの・・・!?」
「え?何かおかしい?ルームメイトなんだからそれ位分かる様にならないとダメでしょ?」
あっけらかんと答える佐藤さんに周囲は愕然とする。あの一瞬の目の動きだけでそこまで分かっちゃうの?いやむしろ“ルームメイト”ってそこまで出来るのが佐藤さんの“普通”なのか・・・?
この周囲との認識のずれ、佐藤さん自身は全く自覚してない。なまじ前世の記憶など持っている所為か、周囲の感情の機微に敏感な佐藤さんは今まで自分が浮きすぎないようにとこれくらいの事は当たり前にやってきていた。その所為か、いつの間にやら佐藤さんの脳内でこれは当たり前の行為だ、と固定づけられていたのである。まさにモブ(笑)!
周囲が思わずゴクリと唾を呑む。この女、ベルーナ君に頼られるわけだ・・・!私たちうわべだけの連中とは“格”が違う!すごい・・・すごいコミュ力だ!
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