Mission
Mission9 アリアドネ
(6) マクスバード/エレン港 B
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こないって。でも、先に結果言われちゃうと、ちょっと、へこむ」
レイアの手がジュードの背中をぽんぽんと優しく叩いた。ジュードはされるがままレイアに体を預けた。
次にユティはアルヴィンの前まで歩いて行き、アルヴィンの手を持ち上げて包んだ。
「ワタシたちが山奥で生活できたのは、アルおじさまとユルゲンスさんがいたから。二人は瘴気でライフラインが絶たれた土地に物資を供給するお仕事してた。物資を詰んだワイバーンで颯爽と目的地に降りる運び屋コンビ。エル姉と並んで庶民のアイドルだった。アルおじさまたちがお世話してくれたから、山奥でとーさまと二人きりでも、ご飯、困らなかった」
「俺とユルゲンスが……慈善事業に転向すんのか」
ユティはアルヴィンの手をほどくと、ガイアスたちの前まで行き、正式な作法で跪いた。
「アーストは相変わらず王様してた。でもローエンが亡くなってから、エレンピオスとの仲がこじれてきて。ただでさえ住める土地が少なかったエレンピオスが、リーゼ・マクシアの土地に無理に移住しようとしたから。新宰相にはシャール家のお嬢様が就いた」
「ドロッセルお嬢様が私の後任ですか」
「その辺の人事は知らない。お国事情だから。全部アルおじさまから又聞き」
横にいたエリーゼの手が恭しく捧げ持たれる。
「エリーゼは叩き上げで軍の指揮官に登り詰めた。ローエンの二つ名を継いで、『指揮者ルタス』。ティポももちろん一緒。『指揮者』に『指揮棒』は欠かせないから。新宰相と対を成す、黎明王の双璧として活躍してた」
「わ、わたしたち、軍人さんになっちゃうんですか」『意外予想外奇想天外ー!』
ユティはふっと笑んで立ち上がり、再びルドガーたち全員を見渡せる位置に立った。
「以上がユースティア・レイシィが語れる限りの『もしも』のお話。紳士淑女の皆々様、ご清聴誠にありがとうございました」
大仰な礼をする。場が少しだけ弛緩した。
これだ。今までにも気づかなかっただけできっと在った、小さな気遣い。
「結局、お前は俺たちに何を選ばせたいんだ? みんなが救われる未来って何なんだ」
「分からない」
ここまで引っ張っておいてその答えはひどすぎないか。殴るぞ。と、ルドガーが遠慮なく態度に出せばジュードが止めにかかった。
「ワタシも過去の全てを知ってるわけじゃないの。だからワタシは、とーさまやおじさま方から聞いた昔話を元に、その場で最善と思える行動をしてきた。時には聞いた通りの出来事を起こさせないよう妨害もしたわ」
少女は曇り空を仰いでから、静かに胸の前で両手を握り合わせた。
「後は気が遠くなるほど積み重ねた小さな行いが、最後の『審判』によい影響を与えるよう
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