暁 〜小説投稿サイト〜
レンズ越しのセイレーン
Mission
Mission9 アリアドネ
(5) マクスバード/エレン港 A
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うがなかったのよ」
「不幸?」
「一番は、時間をかけすぎた。『道標』探しや分史破壊に」
「純然たるタイムオーバーかよ……」
「だからユースティアは来たの。手遅れにさせないために。とーさまと、アルおじさまと、バランおじさまに託されて。未来を創り直すために」
「俺?」

 ルドガーたち全員に注目され、アルヴィンは困り果てている。

「おかしくないでしょう? アルフレドとユリウスは、エレンピオスでの(・・・・・・・・)幼なじみだもの」
「……初耳だが?」
「僕も」
「あー……一部に言ってなかったのは謝る。すまん」
「どうして言ってくれなかったんですかっ」『水くさいぞバホー!』
「いやいやいや、話題の内容的に言いふらすようなもんじゃないでしょ? 隠してたんじゃねえって。言いそびれてただけ!」

 一部告げ忘れていた仲間に詰め寄られ、アルヴィンはてんやわんやだ。

「バランおじさまは元々とーさまの友達で、精霊研究所の所長。アルおじさまはDr.マティスや大精霊マクスウェルと縁があって、この世の裏事情に通じてる。対『審判』用兵器の教育者としては適任でしょう?」
「兵器?」

 ユティは自らの胸の上に手を置いた。

「ワタシ。ユースティアが、とーさまたちにとっての秘密兵器。とーさまは最初から正史に送り込むためだけに、ユースティアを『造った』の」

 本人にとって、とても哀しく、痛く、辛いことを言っているはずなのに。
 ユティは今までで一番血の通った笑顔を浮かべていた。
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