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SAO─戦士達の物語
GGO編
百二十一話 墓参り 弐
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「……は?」
涼人が呆けたように立ち止まる。俯いて居た筈の美雨の顔は、何時の間にか真っ直ぐに自分を見ていた。

「……って、どんな冗談だよそりゃあ」
しかしすぐに気を取り直し、涼人は苦笑してまた歩き出し……その進路に、美雨が割り込んだ。

「……冗談じゃないよ。って言ったら?」
「な……」
極真剣な顔で、真っ直ぐに自分を見て来る彼女に、流石の涼人も戸惑った、慌てたように、言葉を返す。

「な、何言ってやがる。お前と俺の関係考えりゃ、んなの絶対在りえねェ話だろ?冗談にしちゃ長いぜ?天松」
「冗談じゃないって言ったよ……?答えて、私と涼人君の今までの関係とか、全部無かった事に出来るなんて思ってない。でも、今だけで良いの。もしそれを除いたら……一人の人間として、一人の、お、女として……私が涼人君に“ずっとそばに居て欲しい”って言ったら……君は、私の気持ちに答えてくれる?」
「…………」
少しだけ顔を朱くして言った彼女に今度こそ、涼人は眼を見開いて固まった。
少しの間その表情のまま凍りついたように固まり、次いできつく目を閉じると、最後には真剣な顔で再び真っ直ぐに美雨を見る。
彼女と彼の距離は、いつの間にか、ごく近くまで近づいて居た。それはそれこそ、少し動けば互いに互いへとどいてしまいそうな距離だ。
そうして、涼人はゆっくりと口を開く。



「……悪い。俺は……お前のそばには居られない」
「…………」



そのまましばらく、二人は固まっていた。
冷たい空気が空間を流れ、二人に吹きつける。そして……

「……そっか」
いつも通りの、美羽の明るい声が響いて、会話は終わりだった。そのまま歩きだした美雨に、涼人が続く。

「ま、分かってたけどね。涼人君には相手も居るんだし」
「……あぁ、そうだな。ってん?相手?」
手拍子で答えそうになって、涼人はふと気が付いたように首を傾げる。身に覚えのない点でもあ、あった。と言った様子だ。
それを見て、美雨はあきれ果てたように涼人を見る

「……あのねぇ……いや、もう、何か……いいや。うん」
「は?なんだよ、その冷たい視線は」
「ベッツに―。あ、涼人君、この先に喫茶店が有るんだけど、ケーキ食べない?涼人君のおごりね!」
一方的にそういって、美雨は走り出す。行き成りの展開について行けず、慌てたような反応をしながら、涼人は続いた。

「は?お、オイ天松!?待てコラ!」
「待たないよ!今日一日!って約束だもんねー!」
「いや、卑怯じゃねェ!?」
そんな事を言い合いながら走って、美雨はふと空を見た。

『私はまだ、貴方の事が頭から消えない……でも、ごめんね?アイリ……』
その視線を、後ろから追いかけて来る青年に戻して、胸の奥で、小さく呟く。

『私
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