GGO編
百二十一話 墓参り 弐
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のの元々と比べ少々広めに改装された昇降口を、二人は歩く。
「って言うか、さ」
「え?」
少し考え込むように俯いていた美雨は、顔を上げて杏奈の方を見る。
「私的には、美雨の方にそれ聞きたいくらいだったんだけど……もしかして、そのために聞いた?」
「えっ!?いや、えっと……うん……ごめんなさい……」
「別に良いけどね」
俯いて申し訳なさそうに小さな声で謝罪した美雨に、杏奈は再び苦笑して返した。しかしその顔は、すぐに真剣さを帯びた物へと変わる。
「美雨の心は、美雨の物だから私は何も文句を言うつもりはないわ……でも、一つ聞かせて?……そのつもり、なの?だって貴女……」
その言葉に、美雨は焦ったように返した。
「わ、分かってる。分かってるよ!今までで、もう、大分拗れちゃってるし……今度の事で、もっと涼人君の事分からなくなったし……」
「……距離は縮まってるみたいだけどね」
「えっ?何で……?」
肩をすくめながら言った杏奈に、訳が分からないと言った様子で美雨がその顔を見る。と、若干呆れたように、杏奈は言った。
「だって美雨、貴女今桐ケ谷君の事何て呼んだ?」
「え?涼人君……う」
「ほら、下で呼んでる。こないだまで私と同じように桐ケ谷君って呼んでたじゃない?それって距離が変わった証拠でしょ」
言いながら、杏奈は自分のロッカーからスニーカーを取り出し、上履きと履き替える。その横で同じように靴をはきかえながら、美羽はまた焦り気味に言った。
「いや、これはその、そう言うのじゃなくて……ただ、向こうでずっとリョウ、リョウ。って呼んでたし、こっちの方が呼びやすいって言うか……」
「ならりょうって呼べばいいじゃない。こっちでも」
「そ、それじゃ親しそう過ぎだよ!」
杏奈のもっともな指摘に、手拍子で反応した美雨はしかし、再び苦笑しながら自分を見た杏奈に、失敗を悟った。
「ほらね?やっぱり、距離が近くなってるっては自分でも感じてるんじゃない?案外、麻野さんなんてやきもきしてるかも」
「うぅ……アンは意地悪だぁ……」
「先に聞いてきたの美雨だけど」
そう言って杏奈は昇降口から出て校門に向かう。そうして、少し言葉を選ぶような様子を見せてから、ゆっくりと言った。
「まぁ、よく考えてみて、それでも聞いてみたいなら、好きにすればいいわよ。別に桐ケ谷君が誰かと付き合ってるとか、そう言う事は無い訳だし、麻野さんには悪いかもだけど……ただ自分の事は、ちゃんと納得させなさいよ?」
「うん……ありがと」
俯きながらそう言った美雨を連れて、二人は駅へと歩いて行った。
────
「……ここか?」
「うん。此処」
その、一時間半程後。
美雨と涼人は、都内の、ある寺……その、墓地に来て
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