第三十四話
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第三十四話 タロとワラビも
タロは主にワラビと話している、それぞれ毛の色も大きさも全く違うがそれでもこちらも仲良く話をしている。
その中でだ、ワラビはタロから華奈子の話を聞いてこう言った。
「愛嬌のある人ね」
「うん、そうだよ」
「明るくて活発で」
「運動神経もよくてね」
「そうした人よね」
ワラビはタロのその話に頷く。
「そうとなると」
「そうとなるとって?」
「いえ、うちのご主人は一気に前に出たりムードメーカーになるとかいう人ではないけれど」
彼女の主はまた違うタイプだというのだ、そのうえで話すのだ。
「そちらのご主人ともね」
「上手くやれそうなんだね」
「ええ、相性は悪くないと思うわ」
「そちらのご主人はうちのご主人みたいな人ともなんだ」
「基本的に誰とも合わせられる人なの」
それがワラビ達の主だというのだ。
「ただ、最初は人見知りするけれどね」
「人見知りするんだ」
「そうなの、そこが少し厄介だけれど」
それでもだというのだ。
「それでもね」
「凄くいい人だからなんだね」
「そう、上手くやっていけるわ」
「それを聞いて安心したよ、うちのご主人は人見知りしないからね」
華奈子にそれはないというのだ、彼女は誰とでも仲良く出来る娘なのだ。
「だからね」
「だといいわ。けれど人見知りはね」
「そんなに深刻な問題じゃないって聞いたけれど」
「そうよ」30
ワラビもそれは、と答えるがそれでもだった。
「それがこじれたら心配になるわね」
「結構繊細な人なんだ」
「そういうところがある人だからな」
「ううん、うちのご主人も実は繊細だけれどね」
だから人に気遣いもする、特に双子の相方である美奈子への気遣いはいつもだ。
「それでも多分そちらのご主人よりはね」
「繊細じゃないっていうのね」
「人見知りはしないからね」
だからだというのだ。
「そこまではいかないよ」
「じゃあやっぱりそちらのご主人が引っ張る形ね」
「そうなるね、多分ね」
二匹はこうした話をしていた。
そのうえでだ、ワラビはタロにこう言った。
「ご主人達も仲良くやれたらいいわね」
「僕もそう思うよ」
タロもこう返す。
「仲良くね」
「すぐにそうなれたらいいわね」
こう話すのだった、彼等も主達の幸せを願っているのだ。
第三十四話 完
2013・5・3
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