蒼風の谷
運命
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て行ったのか。なぜ、嘆いたのか。
「そうです、あたくしたちは生きているのです!」
エリザは監視者に詰め寄り前髪が当たるくらい近づいて、
「生きて明日を掴むんです!」
しばらくの沈黙。先に口を開いたのは監視者だった。
「あなたには理解できないでしょう。絶望の中で育ったワタシの観念を。歯車が時計の針を進めるように、人の生も運命が動かす。未来は決定事項です。」
「では、その運命を打ち破ってはいかがでしょう。」
「……言葉の意味を量りかねます。」
「白光教会を抜けて新たに生きましょう。今までのあなたを捨てて。」
彼女の眉がわずかに動き、表情も強張った。
「束縛から解放されて、自由に生きましょう。」
「ワタシは……。」
「あなた、言ってましたね?」
「な、何を……。」
エリザは彼女の肩を掴み、微笑を含んで問いかける。
「『違う出会い方ならあなたを好いたかもしれない。』」
「――――――!」
「これ、カズヤ様のことですよね?」
「……。」
「カズヤ様のことを好きになった。これも運命では?」
「そう、かもしれません。」
「なら……。」
しかし彼女はエリザを突き放し、顔を伏せた。
「でもワタシは……行けない。」
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