四話目
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高町なのはは焦っていた。その原因は、彼女の腕の中にいる動物だ
フサフサの毛皮は赤く染まっていて、ひどい目にあったということが明確にわかる
なにか別の動物に襲われたのか、それとも人のせいなのか
理由はハッキリとわからないが、急がなくてはならない
「なのはッ!」
「アリサちゃん!」
「ハァ…ハァ…。いきなり…ハァ…呼び出して、どうしたの?」
「ごめん! とりあえず病院に案内して! ひどい怪我なの!」
「ッ! わ、わかったわ。こっちよッ!」
バニングスにも事情がわかったのか、着いたばかりだというのにまた走り出す
後でジュースかなにかかってあげないと。せめてものお詫びと感謝の気持ちをこめて
しかしそれは今じゃない。腕の中で悲痛の鳴き声をあげるこの子のためには、走らなければ
高町は親友の後を追いかけるように、コンクリートを蹴った
「ゼェ…ゼェ…!」
「待ちやがれッ!」
後ろからけたたましい音がなりやまない。一体何が起こってるのか振り向き確認したいが、振り向けばやられてしまうだろう。
武道は一切振り返らずただひたすらに走り続ける
「(くそッ。なんてスタミナだ…! このままではこちらが先にへばっちまう!)」
曹条もまた焦っていた。こんな初夏の日差しのなか走るのはこちらとしてもリスクが高い
だが逃がせば、また襲ってくるかもしれない。
高町と一緒にいるときに襲われてしまっては目も当てられない
ここで必ず『再起不能(リタイア)』にさせる
ならば、まずは足だ
「―《グラディス・ナイト》ッ!」
曹条の背後から幽霊が勢いよく現れる
全身に甲冑を着込んではいるが、その見た目はどこかおもちゃらしいものがあった
「食らわせろッ!《グラディス・ナイト》ッ!」
『オラァッ!』と力強く声を張り上げ武道に向かって拳を放つ
ひねりながら繰り出された拳は武道を足を狙っていたが、武道もまた幽霊を使い巧みに避ける。
しかし、曹条の狙いはそこにあった
「!?」
足をコンクリートに着けた瞬間、コンクリートが勢いよく下がった。まるで誰も乗っていないシーソーに端に足をつけたように
「ふっ!」
シーソーになったコンクリートの逆端にいた曹条はテコの原理で持ち上がる。曹条はその上がる力を使い、空中へジャンプする
着地地点は、武道の真上だ
「これで決まりだッ!」
『オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラッ!』
完璧に入った。武道は身動きを取れずそのままサンドバッグのようにただ幽霊に殴られるだけだった
『オラァッ!』
《グラディス・ナイト》は止めの一撃と言わんばかりの力と重さを込めて武道を殴り飛ばした。
終わったか。曹条は勝利を確信した。
しかし
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