黄巾の章
第23話 「あー……いや、スキンシップ」
[5/8]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
まで聞きなさいよ。別に劉備に恩賞がないなんて言ってないじゃない」
そう言う賈駆っち。
ウチは、突っ伏していた顔を少しだけあげて、涙目で賈駆っちを見る。
「……でも、あの辺りの土地はもらえんのやろ?」
「だから、話は最後まで聞きなさいよ……月に感謝しなさいよね」
月に?
「荊州と益州の間にある田園地帯、それに定軍山を含めた漢中周辺をそれぞれ一部切り取って、新たに州が設置されることになったわ」
「へ?」
「州の名前は、梁州。劉備にはそこの刺史になってもらうのよ」
りょう、しゅう?
「範囲は……東は上庸、北西は定軍山全域、南は巴中までよ。都の位置は好きに決めていいそうよ。まあ、漢中でしょうけど」
「ほ、ほんまに!?」
「きゃっ!? び、びっくりした……本当よ。統治がうまくいくなら、そのうち州牧にするという話もあるわ」
「か、賈駆っち! 大好きやー!」
「きゃあああああああああっ!?」
やった!
盾二、ウチは約束守ったで!
「ちょ、やめ、抱きつかないで……って、どこ触ってんの! いや、ちょっと、あん……」
「もー賈駆っち、すきすきすきやでー! ちゅっちゅっ!」
「ぶあ、ちょ、なに、んむっ!? んんー!? ぷはっ! あ、あんた、なにしてくれてんのよー!?」
……あかん。
変な趣味に目覚めそうや。
―― 盾二 side ??? ――
闇――
何も見えない。
何も聞こえない。
ただ、そこにある闇。
「って、いい加減慣れたわ」
「あら、つれないわねぇん」
俺は闇の中にツッコむ。
案の定、すぐに反応があった。
「やっぱり見えないのな」
「うーん……たぶん本来のベースであるご主人様が、いまだに目覚めないのが原因だと思うけど……」
「一刀はまだかかりそうなのか?」
貂蝉の話では、自分が死んでしまったという事実を魂が思い込んでいて、目が覚めないとのことだったが。
「こっちの龍脈の力を徐々に注いでいくことで、しばらくすれば目を覚ますはずなんだけどねぇ?」
「うーむ……ペインクリニックみたいなものか?」
「えっと……? ああ、そうそう。麻酔みたいなものよ。魂のね」
ペインクリニックは、痛みがないのに幻痛を覚える患者に、脳の誤認識を正すために行う麻酔術の一つだ。
それと同様に、龍脈の力を徐々に与えて自分が死んだと思い込んでいる魂に、それは錯覚だと判らせるのだという。
「やはり一度に与えるとまずいんだな」
「そうねぇ。龍脈の力は強大だし……無理に起こそうとすると、どんな悪影響があるかわからないわねぇん」
「そうか……まあ、それでもいつ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ