黄巾の章
第22話 「……ご主人様って言うな」
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椅子から立ち上がっていた。
「え? あ!? いや、これは、別に俺が泣かしたわけじゃ――」
「じゅ、じゅんじざまぁぁぁぁぁぁぁっ!」
「うぇぇぇぇぇっ!? 君もですかぁっ!?」
いきなり泣きながら飛びついてくる雛里。
というか、意外に跳躍力あるんだな、雛里!
「ふぇぇぇぇぇぇぇぇ!」
「うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!」
「あー……えーと……うん、まあ……泣きたいだけ泣け! 俺はここにいる!」
「「じゅんじざまぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」」
ああ……なんか知らんが盛大に泣き始めちゃったよ。
まいったな……俺、この子たち泣かしてばかりだよ。
泣き叫び、号泣する二人を宥め、あやし、背中や頭をさすってやること三十分ほど。
ようやく落ち着いてきた二人に、内心ほっとしていた。
「……二人とも、落ち着いたかな?」
「ぐじゅ……ばいぃ……」
「えっずっ……ぶぁい……」
あーあーあー……涙と鼻水で大変なことになっているな。
とりあえず近くにあった綺麗な布巾を二つに裂いて、それぞれの顔を拭く。
「はうう……」
「あうう……」
二人はようやく落ち着いたようで、真っ赤な顔をしながら俯いている。
それでもしっかり俺の服を掴んで抱きついていたけど。
「正直状況がよくわかんないけど……迷惑を掛けたようだな。すまん」
「い、いいえ! 盾二様がご無事なら、私達はなにも!」
「そ、そうでしゅ……ごしゅじ、じゃない、盾二様がご無事なら、問題ありましぇん!」
雛里……今、ご主人様って言おうとしたな?
やっぱり、君らもその単語を言いたいの?
「とりあえず状況を教えてもらいたいのと……俺も話さなきゃいけないことがあるんだよな」
「話さなきゃいけないこと……?」
「ああ、とりあえず……おい、そこにいるんだろ? もういいから入ってこいよ、馬正」
「「!?」」
俺が扉に声を掛ける。
しばらくして、ゆっくり扉が開いた。
そこには、身を縮こませた馬正がいた。
「……ばれていましたか?」
「まあな。二人が泣いている間に入ってこなかったのは、褒めてやるよ」
「さすがに、それぐらいは気を利かせますよ」
「「はうあうはうあー!?」」
馬正の言葉に顔を真っ赤にして俺の胸に顔をうずめる二人。
いやまあ……恥ずかしいよね、うん。
「しかし盾二殿……わかっていたなら私を呼ばずとも宜しかったのに。女心がわかっておりませんなぁ……」
「うっせ! しょうがないだろ……ちと、重要な話なんだよ!」
俺は、顔を胸にうずめる二人の頭を撫でながらそう言う。
って、痛ぁっ!?
「「うううう〜っ……」」
あ、怒ってる?
俺の胸にしがみつく二
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