黄巾の章
第22話 「……ご主人様って言うな」
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の?
「えと、えと……朱里ちゃん……諸葛孔明に聞いて、うんと、あと、盾二様に聞いていた、通りの容姿なので……」
「あら、そう? もしかして、臣の子?」
「あ、はい」
な〜る。
確か『はわわ軍師』と『あわわ軍師』がいるって言っていたわね。
様子からして後者かしら?
「こんな可愛い子が臣にいるんじゃ、わたしの求婚をすぐに受けなかったのもわかるかな〜?」
「あわわ……そ、そんなこと、ないでしゅ……」
あらら、真っ赤になっちゃって。
可愛い子だこと。
「ふふ……それより、どうかしら? 盾二の様子は……」
「あ、はい……」
そう言って鳳統が寝台の幕を開ける。
そこに横たわる、一人の男。
「盾二……まだ目を覚まさないのね」
「はい……」
鳳統ちゃんが目を伏せる。
わたしは、盾二の顔を覗きこんだ。
いつもの皮の服は脱がされて、今の盾二は寝巻き姿。
眠りこけているけど、血色のいい顔。
もう七日も眠り続けているようには見えない。
「傷もないのにどうして眼を開けないのよ……?」
わたしは誰に尋ねるわけでもなく、呟く。
あの邑での一夜の後。
盾二は一向に目覚めなかった。
宛に移送して、孔明や街の医師にも見せたけど、身体的な問題はまったくなし。
返り血で紅く染まっていた顔や頭にも、外傷はなかった。
ただ、こんこんと眠り続けている。
「原因はまったく不明。いつ目覚めるともわからない……まったく、ヤキモキさせてくれるわね」
「盾二様……」
鳳統ちゃんが不安げに見つめている。
まったく……こんなかわいい幼女にまで心配させて。
ほんとに罪な男。
「接吻でもしたら起きるかしら……?」
「せ、せっぷ!?」
あら?
鳳統ちゃんの顔が、ボンッと紅く染まる。
「やってみる?」
「あ、あわわわわわわわわわわわわわわわわわわわわ……」
あらあらあら。
確定。あわわ軍師だわ、この子。
「なんなら、わたしがやってもいいけ……」
「だ、だめでしゅっ!」
あ、そこははっきり言うのね。
「冗談よ。やってもいいけど……それで起きるなら苦労はないわね」
「………………」
真っ赤になった顔を隠すように、帽子を目深に被りなおしている鳳統ちゃん。
なに、このかわいいどうぶつ。
持って帰っちゃダメかしら?
「さて……盾二の顔も拝んだし、そろそろ行くわね。今頃うちのこわ〜い軍師がわたしを探していると思うし……」
「え、え、と……?」
そろそろばれる頃だと思うのよね〜……
見廻りサボったことが。
「じゃあ、わたしは行くわね……またくるわ」
「ひゃ、ひゃい
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