黄巾の章
第22話 「……ご主人様って言うな」
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か、わかんないじゃないか!」
そうだ。
盾二が眠りについて、すでに七日。
盾二は目を、覚まさなかった。
「だからといって……騒ぐ、叩く、しばく、頬を殴る、無理やり起こそうとする……そんなことをする方を、この部屋に入れるわけには参りませんな」
「そ、それは……」
だ、だって、寝ているだけなら……それで起きると思ったのであって。
「で、でも、身体には何の問題もないんだろ? 傷もない、熱もない、身体に何の異常もないのに……なんで目が覚めないんだよ!」
「それがわからないから、安静にする必要があるのです……いい加減、おわかりになられよ」
うう〜……馬正の正論に、二の句が継げない。
(お姉さまってば、筋肉バカなんだから……)
くっ、蒲公英!
頭の中で蒲公英の溜息が聞こえた気がした。
「ともかく! ご遠慮いただきたい」
「そ、そこをなんとか……」
「ダメ」
「……ちょっとだけ」
「ダメ」
「…………」
「…………」
あたしと馬正が睨みあう。
と――
「なにしてんの?」
不意に声が掛けられた。
あ、孫策!
「……もしや孫策殿ですかな?」
「うん。えーっと……誰だっけ?」
「これは失礼を。私は馬仁義。盾二殿の臣でございます」
馬正が礼の構えを取る。
「あー……あなたが髭おじさん? 髭ないじゃない」
「ひ、髭おじ……ま、まあ、髭は剃りましたゆえ」
「ふーん……まあいいわ。それより中に盾二いるんでしょ? 入っていい?」
「は、どうぞ」
「なにいーーーーっ!?」
あたしがダメで、孫策がいいってどういうことだ!
「馬超殿はご遠慮召されよ」
「なんであたしだけダメなんだよ!」
「先程からご説明している通りです」
「〜〜〜〜〜〜っ! ケチ!」
「なんといわれようとダメですな」
「…………」
「…………」
あたしと馬正が睨みあう。
「……なんかよくわかんないけど、お先にね」
「あ! ずりぃ!」
孫策が、さっと扉を開けて入ってしまった。
あたしも続こうとするけど、馬正がその間に入り込む。
「馬超殿!」
「うううっ〜〜〜〜〜〜〜〜っ! ケチぃぃぃぃぃぃぃっ!」
―― 孫策 side ――
「なんだかなぁ……」
思わず呟くわたし。
「あわわ……孫策、さん」
「あら。えーと……?」
盾二の部屋には一人の女の子がいた。
帽子を目深に被って……臆病な子なのかしら?
「え、えと。わ、私は鳳統士元でしゅ」
「あ、ああ……鳳統ちゃんね。よろしく……って、わたし会ったことあったかしら?」
なんで私の顔と名前知っている
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