黄巾の章
第22話 「……ご主人様って言うな」
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入っとる。もう、動くなってことやな……)
ウチらは洛陽の宦官ども……それのみならず、諸侯からも妬まれとるらしい。
連戦連勝……しかも、宛を包囲した袁術は、数ヶ月も包囲したまま手立ての示せず、ウチの軍が交代したその日に陥落した。
袁術は……相当面子をつぶされたと思っておるらしい。
(実際は、こっちにとって大打撃やったんやけどなぁ……)
義勇兵の逃散は、最終的に発足当初の六千を割り、今は四千程度だった。
古参の兵の主だった者は、愛紗と鈴々を守るために盾となって死んだ者やった。
おまけに桃香が攫われたときに、必死に抵抗した古参兵も、そのほとんどが殺された。
今では歴戦してきた義勇軍の古参兵は、千いるかどうかになっとる。
ウチや孫策の兵も無傷とはいかないまでも、そこまで被害はない。
それに月から増援として、近いうちに五千ほど補充兵が来ることになっとる。
せやけど、義勇軍は……
(その旗頭が……)
ウチは、溜息を吐く。
義勇兵の問題だけやない。
袁術は、その功を妬んで、孫策を宛から引き上げようと、再三書状を送ってきとる。
けど、ウチらの実情を踏まえ、孫策はそれを拒否。
ウチとしても今、孫策軍がいなくなることは大問題や。
そやから月や賈駆っちに頼んで、なんとか孫策を残留させるように交渉を続けとる。
(まったく……えらい迷惑やで)
連日送られてくる賈駆っちの報告では、袁術の……というか、その配下の張勲のネチネチとした嫌がらせの数々、それに対する愚痴がつらつらと書いてあった。
(……今日も、戻ったら届いてそうやな)
ウチは、うんざりとして愛馬にもたれかかる。
ウチが背にへばりつくのがうっとおしいのか、ウチの馬がぶるる、と首を振った。
「ん〜ケチ!」
「は?」
思わず出てしまった言葉に、横にいた兵が何事か、と顔を向ける。
ああ……
帰んの嫌やなぁ……
―― 馬超 side 宛 ――
「どうしてもダメか?」
「だめですな」
「〜〜〜〜〜っ! ケチッ!」
「なんと言われようとも、お通しすることはできかねます」
こ、こいつわぁ〜!
「なんでだよ! なんであたしがこの部屋に入るのがだめなんだよ!」
「……あのですね、馬超殿」
「なんだ!」
あたしは、目の前の男……いや!
おっさんに食ってかかった。
そのおっさん――馬正が、コホンと咳払いをして……
「ここ数日、朝から晩まで一刻置きに来ては、散々騒いで出て行かれる……正直、主に悪影響です。ご自重ください」
その言葉にうっ、とたじろぐ。
「で、でも……いつ目覚める
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