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魔法少女リリカルなのは〜その者の行く末は…………〜
Chapter-1 First story~Various encounter~
number-12 The incident is conclusion
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前なんて覚えたってしょうがない。


ようやく息が整った燐夜は、口を開く。
プレシアは燐夜の言葉を黙って聞いていたが、ある言葉を口にした瞬間、プレシアの表情が変わる。いつも通りの無表情から苦虫を噛み潰した様な顔に。


全てを燐夜は語った。
プレシアから聞くたった一つのことのために。経緯、身の上から今の自分のことについて。
最後に質問を投げつけた。
プレシアは天を仰いで、呼吸を一つするとまたいつも通りの無表情な顔に戻って言った。


「ええ、そうよ。その件は、私の人生最大の汚点。そしてその男で間違いないわ。私は反対したのよ。けれども、あの男は強行した。……これぐらいでいいかしら?」
「ああ、すまなかった。もう話すことはない。その少女とどうするかはあなたが決めることだ」


と、燐夜はプレシアの隣にあるポットに入っている少女を一瞥していった。
プレシアは頷く。


「そうね、私は死を選ぶ。アリシアと二人であの子の未来をあの世で案じているわ……」
「母さん!」


プレシアが言い終わるのを待っていたかのようにタイミングよく声を発したフェイト。
プレシアは虚無空間に飛び込もうとしていた足を止めて、フェイトに向き合った。
おそらく、いや、これが最後の対面となるだろう。
燐夜は邪魔をしないように隅に移動した。そして、この移動でもう体力が尽きたのだろう。燐夜は倒れ、意識を失った。


「あなたと話すことなんて何もないわ」
「それでもいい、私はあなたに言いたいことを言いに来たのだから」


プレシアは口を開かなかった。
ただ、フェイトを見ていた。最後に死にゆく体、心にその姿を焼き付けるために。


「あなたは私の母さんです。それは覆しようのない事実。でも、私はそれでも嬉しかった」


フェイトの瞳から頬を伝わるものが流れ出る。
それを抑えようともしないフェイトは最後に一言。


「私を生み出してくれて、ありがとう」


涙を流したまま、フェイトはプレシアと向き合った。
プレシアは泣きそうであった。けれども、泣くことを堪え、一言。


「…………何時だってそう、私は気付くのが遅すぎた」


それだけ言い、時の庭園崩壊に巻き込まれる形でアリシアと一緒に虚数空間に落ちていった。
フェイトはかがんで身を乗り出し、手を差し伸べるが届くわけもなく、すぐにやめた。


辺りを見回すと何か見慣れた人が倒れているのに気付いた。
よく目を凝らしてみると、燐夜であることに気付いた。


「燐夜ぁ!」


燐夜のもとにフェイトが駆け寄ると、血のにおいが立ち込めていた。それほどまでに出血の量が多いのだ。もう助からないかもしれない。そんな最悪の状況まで頭をよぎったが、
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