不可思議「修正」
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斑千冬よりは持ち堪えてね」
――待て。今、何と言った?
「ああ。残念ながら貴女の好きな教官様はこの通り」
そう言うと、スコールは胸元から何かを取り出した。女の、髪だった。ラウラの見覚えのある、女の髪だった。
「ま、さか……」
「生身で良く善戦したわよ、彼女。最も、あくまで善戦だけど」
ハラハラと風の中に散っていく。
「教官……」
意図せず、暴力の様に在りし日の過去がよみがえる。幸せな思い出が、暴力の様にラウラを蝕む。
私は、お前の……
もう戻らない過去。もう実現しない未来。夢。理想。想い。
「き、さまあああああああああああああ!」
その全てが怒りに変わり、身を焦がしながら敵に矢を放つ。
風より早く、音より早く、その身を怒りが焼き尽くす前に、敵の喉元に手刀を叩き込む。周りをソニックムーヴが襲うが、それより早くラウラはスコールの前に立った。
「なっ」
「死ね」
銀の髪を振り乱し襲い掛かるは死神の様。少なくともスコールにはそう映った。
機体にプラズマブレードが突き刺さる。絶対防御が発動してスコール自身には影響が無いが、確かに機体にダメージを与えていた。
嫌な音を立てながらブレードが引き抜かれる。そこにはISの中核を担うコアが露出していた。
ここに勝負は決した。決したが……その結果は、あまりに不条理に過ぎた。
「馬鹿な……」
その驚愕もむべなるかな。銀の少女のISは解除されていた。彼女がプラズマブレードを引き抜いた、その瞬間に……
結果、ラウラは生身で敵の前に立つこととなった。
「驚いた?でも説明はしないわよ」
説明されるまでも無く、何が起こったかは大体推測できる。
――恐らく、あのISの能力は触れた対象がISなら問答無用でそれを解除するもの。情報ネットワークの干渉を応用すれば不可能ではない。不可能ではないが……
非常にデータが重い。それを搭載するだけで他の装備が申し訳程度のものに成らざるを得ない。
だからこその、あのハンドガンなのだろう。最小の威力で最大の効果を。
「グッ」
しかし、その目論見は成功してしまった。首を締め上げるように持ち上げられる。
「シュヴァルツェア・レーゲンは頂くとして、貴女には……」
ズブリと、その手がラウラの心臓を穿った。
「貴女には、暗闇を差し上げます。永久の闇の中で永遠に揺蕩いなさい」
**************
手を引き抜く。瞬間、少女の体から止めどなく血が溢れ出した。その赤に眉を顰める事無く、スコールは笑う。その関心は新たな獲物に向かっていた。
「衛宮、切嗣」
この計画の最大の目的は、切嗣のISだ。それに比べればラウラも千冬も前座だ
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