不可思議「修正」
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えて周りを蠢く無人機の群れ。今にも死にそうな切嗣の状態。幾らラウラとはいえ、その全てを覆す事は叶わない。
――だからこそ、切嗣が打った最後の布石が意味を持つ――
「ラウラ!」
曇天の空から、懐かしい声が聞こえた。
シャルロット・デュノア。この闘いにおいて、唯一消耗していない戦力。アリーナの外を覆うエネルギーシールドを突破し、漸く振り切りここまで来たというわけだ。
「シャルル!無事だったか……」否、そうなるよう切嗣が状況を創り上げたのだ。
ラウラ・シャルロットというペアに、戦闘力どころか経験皆無な本音をタッグ相手に選んだのはこの為だ。……切嗣は布仏本音を弱いと信じてパートナーに選んだ。
そもそも今回の事件、切嗣はある程度予感のようなモノを覚えていた。ラウラやシャルロット、切嗣が必然的に消耗するこの一戦、学園に敵対する者なら利用しない筈が無い。敵対するものが意図的にこの状況を作ったのだとしたら、あまりに危険だ。ラウラの協力が得られない現状、切嗣の描いたベストなビジョンは「シャルロット、切嗣が戦闘可能な状態で不足の事態に対処」する事だ。その為、本音には逃げ回るよう指示をだした。無論、この事は誰も知らない。全ては切嗣の手の中にあった。勝っても負けても旨味が無いこの大会に、わざわざ切嗣が腐心した理由はこれだった。
彼に誤算があったとすれば、敵の襲撃が余りに予想を上回る規模だった事、現在切嗣が虫の息だという事実だ。だが、それはラウラの心境変化によって帳消しになった。当初、ラウラの協力が得られるなら切嗣がやられ役になる予定だった。実力的なモノを考えればソチラの方が効果的だ。現状はベストを上回る状況だと言っていい。
「き、切嗣!?」
足が千切れ蒼白になった顔を間近にし、シャルロットの声が上擦る。
「安心しろ、生きている。それより……シャルル?」
「あ、ああああああああ……」
しかし、どうもシャルロットの様子が尋常では無い。訝しげにラウラが声をかける。
――では、ここからは負債の話に移ろう――
切嗣が予想し得なかった4つ目の事柄。VTシステムがラファール・リヴァイヴ・カスタムIIに組み込まれていた事。
「ああああああ!?」
切嗣の最大の誤算が最悪の状況に生まれ変わった。
「シャルル!?」
「い、いや!」
突如として身体をヘドロのような物がラファール・リヴァイヴ・カスタムIIを覆いだした。VTシステムの本性は、過剰防衛だ。登場者の深層心理を感知し起動する。シャルロットは自分よりも切嗣を愛し、大切に想っている。
「助けて……」
ならば、VTシステムが起動する条件は満たされてしまったのは道理だ。泥に覆われるその身で、必死に手を伸ばす。頬を涙が伝うが、泥は彼女を包んでいく。
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