第五十二話
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間を一万人閉じ込めてゲームを攻略させるという、ヒースクリフの……いや、茅場晶彦の目的。
大多数の凡人にとっては意味も理由も想像がつかぬ……この世界を作り出した、天才の考え。
「意味、か。ここはやはりRPGのラスボスとしては、『その剣で聞いてみろ』と返すところかね」
ヒースクリフのユニークスキル《神聖剣》の象徴たる盾、その背面に内蔵された鞘から十字剣を抜き、幾多のボスモンスターの攻撃を防いできた構えをとる。
茅場晶彦の目的を知りたければ、彼を倒して自分の世界を滅ぼしてみろと……ヒースクリフは言っている。
そしてヒースクリフの近くに、不死属性解除を示すアイコンが表示されるのと同時に――
――ヒースクリフの視界から俺という存在が消え失せ、世界を救う一戦が幕を開けた。
「……なるほど、これが……!?」
「《縮地》だよっ!」
一瞬の高速移動により相手の視界から自らを外して、あたかも瞬間移動をしたかのように見せる移動術《縮地》。
そしてヒースクリフに放つのは、俺の対人戦において刺突術《矢張月》とともに、高確率で初手になる《縮地》による斜め後ろからの一撃。
相手が《縮地》の存在を知らず反応速度が悪ければこれで終わりだが、ヒースクリフはキリトと同じく見事にその二つの逆を満たしている。
ヒースクリフが放った十字剣と、俺の放った日本刀《銀ノ月》が鍔迫り合いを起こし、どちらも攻めきれずに一歩引く。
そこを追撃してくるのがヒースクリフの大盾であり、かの盾は盾でありながら剣のようだったとキリトは言っていた。
空中に飛んで押し出された大盾を避けると共に、くるりと空中で一回転した後に真下にいるヒースクリフの顔を見る。
「斬撃術《弓張月》!」
本来ならば天井などを蹴って勢いを増す斬撃であるが、この蒼穹に天井などない為一回転の勢いで代えさせてもらう。
狙いすまして日本刀《銀ノ月》がヒースクリフの顔面に殺到するが、ヒースクリフは横にステップすることで上方からの斬撃を避け、空中にいて身動きが取れない俺へと突きを繰り出した。
「……そこっ!」
いる場所が空中で避けることは出来ないが、突きに対して足を突きだすことぐらいは出来る。
……すなわち足に仕込んだ防御用仕込み刀、足刀《半月》によって防御することも可能。
思いっきり十字剣を蹴りつけると鋭い金属音が響き、無事に着地してそのまま後退して一旦距離をとる。
「まるで曲芸だな、君の戦い方は……」
「それはどうも」
ヒースクリフの皮肉めいた台詞にこちらも皮肉気に返すと、日本刀の代わりにクナイを取り出した。
試しに五発ほど頭と両手両足に投げてみるが、全て事も無げに大盾で防がれてしまい、ただ無駄になっただけに終わる。
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