過去
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胡蝶と二人で街を散策する。
宛てもなくただ表通りと裏通りを回ったりしているだけだ。
子供が倒れていたり虐げられている人がいれば助けたりと、やった所でおそらく明日にでもなればまた弱者が虐げられるのは間違いない。
それでも、黙って見ている事なんてできなかった。
意外なのは胡蝶も手伝ってくれたということ。
城を出る前に彼女自身何か思う所があるらしく、珍しい行動が見受けられる。
夜まで偽善者紛いのような事をし続けた。
この行動に果たして意味があるのかと言われれば、おそらくない。
ないが、見過ごすよりは良いと俺は思った。
明日は賊の討伐の任務がある。
しっかりと休み、備えないといけない。
「胡蝶、明日は早い。
城に戻ろう。」
「・・・・・・・」
俺の声に胡蝶は何も反応を示さない。
背中を向け、じっとボロボロの長屋を見つめている。
「おい、どうし」
「私が生まれた街もこんな感じだったよ。」
「・・・・・・」
今度は俺が黙る番になった。
胡蝶の突然の過去の話だが俺は何も言わず耳を傾ける。
「ある街の統治していた私の一族は、好き放題する奴らばっかりでね。
民に圧政を、その奪いに奪った税で自分達は贅沢三昧。
今の縁が見たら殴り飛ばすくらいに腐ってた。」
言われなくても話を聞いているだけでむかついている。
だが、胡蝶にではない。
俺の方に振り返り自嘲気味な笑顔を浮かべつつ、話を続ける。
「そいつらは圧政だけでなく、自ら街に赴き好き勝手した。
金を払わず食事、わざとぶつかっては兵士達を使って暴力で体罰。
民は何も悪くない、悪くないのに虐げられてきた。
逆らった奴は皆殺された。
私はね・・・・」
胡蝶は満天の星空が見える夜空を見上げる。
その眼には何が映っているのだろうか。
何を思い出しているのだろうか。
俺には分からない。
「そんな家が大嫌いだった。」
聞いた俺はようやく口を開いた。
「じゃあ、お前が家を出たのは・・・」
「決まった道を歩かせられるのは退屈だったのは本当。
後、大嫌いな家だったからね、離れたいとはずっと思ってた。
まぁ、家族からは嫌われてたからね。」
「どうしてだ?」
「家族はさっき言ったみたい民を虐げていたけど、私はしてなかった。
だからと言って助けていたわけじゃないけど。
親がやれと言った事をやらなかっただけで、色々と嫌がらせをさせられたものだよ。」
笑って語る胡蝶だがそれは決して笑える話ではなかった。
幼い頃から達観した精神と知識を持っていた彼女でも、当時は子供だ。
子供が家族や侍女達に嫌がらせを受ければ、どんな事になるのか想像もできない。
味方は自分だけ。
「こ
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