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我が剣は愛する者の為に
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の街に来て、ちょっと似ているんだよ。
 私が大嫌いだった街にね。
 どうして今になって偽善者のような行為をしているのか、自分で可笑しいけど。」

胡蝶は視線を下げ、俺の眼を真っ直ぐに見つめる。
初めてかもしれない。
胡蝶が俺の眼を真っ直ぐ見つめて来たのか。

「話を聞いてどう思った?」

「どうって・・・改めて分かったよ。」

「何が?」

「胡蝶は優しい人なんだってことが。」

俺の言葉をすぐに理解できなかったのか、呆気にとられた顔をしている。
その後すぐに。

「あははははははははははは!!」

腹を抱えて大笑いをし始めた。
一体何がツボに入ったのか全然理解できない。

「いや〜、縁はやっぱり面白いね。
 私の事を優しい人って言ったのは、縁が初めてだよ。」

面白そうに笑いながら言う胡蝶だが、俺は至って真剣に答えた。
だって昔の胡蝶がどうだったなんて俺は知らない。
俺が知っているのは今ここに居る胡蝶だ。
目の前にいる胡蝶はこの街の異常な事態に少なからず苛立ち、偽善と分かっていても無意味と分かっていても、住民を助けた。
これだけの理由があれば彼女は『優しい』と俺は思う。
城に帰るまで胡蝶はニヤニヤと妖しい笑みを浮かべ続けていた。
次の日。
部屋に雲流が尋ねて来た。

「ここより数里離れた村で賊の攻撃を受けていると報告を受けました。
 部隊を整えて、私達と共に討伐をお願いします。」

「了解した。
 すぐに準備にかかる。」

胡蝶の部屋に訪ねて雲流から聞いた内容を伝え、部隊を編成する。
糧食に関してはあちら側が負担してくれると言う。
おそらくこの糧食は民から圧政で奪った物だろうが、これがなければ戦えない。
複雑な気持ちになりつつ、俺達は雲流の部隊と共に賊を討伐しに向かう。
その移動の最中に、ある兵士が俺の傍にやってくる。

「関忠様。」

「どうだった?」

この兵士には間諜の任を与えていた。
俺が街に赴いている間に、苑意の素性や周りを調べて貰っていた。
監視の眼を気にしていたが、移動している最中なら聞かれる心配はない。

「残念ながら調べれる範囲では、怪しい話などは聞けませんでした。」

「そうか。」

やはり、そう上手くいかないようだ。
当然だろうな。
簡単に尻尾が掴めるのなら、もっと早く捕まえられている。

「ですが気になる点が一つ。」

「何だ?」

「統治している苑意の部屋ですが、離れにある事が分かりました。」

「離れ?」

「城から独立した部屋です。
 そこに行こうとしましたが十数名の兵士が見張りをしていたので、近づくに近づけませんでした。」

「例えばだが、外部からその部屋に入る事は可能か?」

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