第三十八話 疑惑
[3/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
に対応すべきか、再度確認したい」
と言った。うん、前回よりはかなり良いようだ。公自ら決めようという意志が見える。前回はそれが無かった。
「前回の会議では急進してハイネセンを突くべしという意見と周辺を押さえつつゆっくり進むべきという意見が出た。幸い輸送部隊が届いた事で補給態勢は万全と言って良いだろう、どちらの案でも採る事が可能だ。我らにとって最善の案を選びたい」
公が周囲を見回す、討議を始めろという事だろう。しかし皆が口を開くのを躊躇った。前回の会議でかなり激しく遣り合っている。あれをもう一度と言うのは気が引けるのだろう。皆が戸惑っていると黒姫の頭領が”宜しいでしょうか?“と公に発言を求めた。珍しい事だ、皆が頭領に注目した。
「急進してハイネセンを突く、周辺を固めつつじっくり進む。どちらもハイネセン付近での決戦が前提になっていると思います」
「うむ」
彼方此方で頷く姿が見えた。
「ハイネセンに同盟軍が居ないという事は考えられないでしょうか」
「……」
どういう事だ? 同盟軍が居ない? 頭領は何を言っている? 皆の顔を見たが皆も困惑している、ローエングラム公も困惑している。俺だけが理解できないという事ではないらしい。
「しかし、それではハイネセンは占領されてしまいます。反乱軍は降伏と言う事になりますが……」
キルヒアイス提督が困惑混じりの声を出した。その通りだ、反乱軍は降伏という事になる。頭領がそれを分からないとも思えない、一体頭領は何を考えているのだ?
「その通りです、同盟政府は降伏するでしょう。そして帝国軍は或る程度の兵力を同盟領に残して大部分が帝国に引き上げる事になる……」
会議室がざわめいた。何となくだが頭領が何を考えているのか理解出来た様な気がする。しかし……。
「つまり卿は帝国軍が引き上げた後、無傷の反乱軍が何処からか現れ帝国の残存部隊を追い払い同盟を再建すると言うのか?」
ローエングラム公の声は厳しい、無理も無いだろう、頭領の指摘通りなら極めて厄介な事態になる。
「急進してもじっくり攻めても帝国軍が勝つ。帝国軍と決戦すれば必ず負ける、同盟軍がそう判断したとすれば決戦という概念その物を放棄する可能性が有るのではないか、それを指摘しています」
「……正規艦隊によるゲリラ戦か……」
ローエングラム公が呟くと彼方此方から呻き声が上がった。
ゲリラ戦か……。少数あるいは劣勢となった側が地の利や住民の支持を背景に小規模な戦闘を効果的・反復的に実施することによって優勢な敵に対して消耗戦や神経戦を強い、占領の長期継続を困難にさせる事を目的として行われる……。確かに現状はゲリラ戦を誘発しやすい状況に有る……。
「しかし、……反乱軍がゲリラ戦を展開すると言う確証が有るでしょうか、状況として
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ