第三十八話 疑惑
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っきのローエングラム公の苦笑はこの事が理由か……。今度はキルヒアイス提督とフロイライン・マリーンドルフが苦笑している。
「総参謀長にフロイラインを推薦したのは間違っていなかったようです」
「そうか、彼女を総参謀長にと推薦したのは卿だったな。またしても卿にしてやられたか」
口調とは裏腹にローエングラム公は楽しそうに笑っている。まあ悪くない、俺達も変に気を遣わずに済む。
「冗談はこの辺にしておこう。疲れているかもしれないが作戦会議を開きたい、どう思うか」
ローエングラム公が皆に視線を向ける。異存はない、暇を持て余すよりは遥かにましだ。皆も同感なのだろう、異議を唱える人間は居なかった。それを見て公が頷く。
「フロイライン、三十分後にブリュンヒルトの会議室で作戦会議を開く。全員に通知して欲しい」
「承知しました」
さて、こんどこそ方針が決まるだろう。短期決戦か、長期戦か……。
帝国暦 490年 3月26日 ガンダルヴァ星系 ウルヴァシー 総旗艦ブリュンヒルト アーダルベルト・フォン・ファーレンハイト
会議室には諸将が集まっている。ここにまだ来ていないのはローエングラム公、キルヒアイス提督、総参謀長、あとは副官のシュトライト少将、リュッケ大尉だけだ。補給が無事に届いたせいだろう、会議室の雰囲気は悪くない、時々笑い声が聞こえる時も有る。
危うい所だった、黒姫の頭領が六個艦隊を動かしたから輸送部隊は無事だったがもしそうでなければどうなっていたか……。多分我々は補給を断たれ短期決戦を強いられていただろう。会議室は重苦しい雰囲気で到底笑い声など起きる状態では無かったはずだ。
頭領の功績は大きい、だがその事を認められずにいる連中も居る。あれだけの艦隊を動かしたのだから守れたのは当然だの、何故ヤン艦隊を撃破しなかっただの難癖を付けたいだけとしか思えない非難をする。余りの聞き苦しさにビッテンフェルト提督が“黙れ! 馬鹿どもが!”と怒鳴りつけた程だ。
まあ頭領なら“出来る男がやっかまれるのは仕方がないからね”と言って笑い飛ばすだろう。俺がその事を言うと皆が苦笑した、ビッテンフェルト提督もだ。もっとも彼は苦笑した後で溜息を吐いた。“出来る男はやっかまれるか……、俺もそうなりたいものだ”と言いながら……。皆の苦笑はさらに大きくなった。
ローエングラム公が会議室に入ってきた。皆が起立して公を迎えた。公の後ろにはキルヒアイス提督、総参謀長、シュトライト少将、リュッケ大尉が続いている。皆が所定の位置に着くと艦隊司令官達がローエングラム公に対して敬礼した、頭領も敬礼している。それを見て公が答礼を返した。
礼の交換が終わり皆が着席するとローエングラム公が
「会議を始めよう、我々は今後反乱軍にどのよう
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