Chapter-2 第8話
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ているのならば何故すぐに伝えないのか、それは恐らく、クレアのことを思ってあえて伝えなかったのだろう、ハルカはそう考えた。
修道女にレターセットを貰い、ダンに届けると、ダンは嬉しそうに受け取った。
「ハルカよ、ありがとうな」
ダンはお礼として少しのパンをハルカにくれた。
「僕が貰ってもいいんですか?あなたの食事ではないのですか?」
「ああ。今はパンより粥の方が食べたいと言っておいたからな」
ハルカはダンと少し談笑した後、診療所を後にした。
そして、セサヴァーへのリベンジの為の修行に出かけようとした時だった。
足元にコロン、と銀色の指輪が転がってきた。
(……ん?)
拾い上げると、それはサファイアが埋め込まれた美しい指輪だった。
(そういえばもう明日からサファイアの月だったな。でも、これは誰のだろう?)
辺りを見回してみても、たくさんの人々が通り過ぎていくだけ。
(うーん、どうしたものか)
しばらく考えた後、持ち主を探そうと決めた。
「あの、この持ち主、誰か知りませんか?」
「う〜ん、あ、若い男が泣き顔で何かを探していたけど、聞いてみなよ」
「ありがとうございます」
泣き顔で探していたということは、よほどこの指輪が大事なものだったのだろう。結婚指輪だろうか?
ハルカは聞いた情報を元に若い男を探す。
と、噴水近くで涙目になって探す若い男の姿があった。
「あ、あの」
「な、何……あー!それ、その指輪!」
「ああ。街中で落ちているのを見つけましたけど、あなたの物ですか?」
「そうだよ!これは僕の恋人ナナにあげる誕生日プレゼントなんだ!あれを無くしたらナナに嫌われちゃうと思って僕は……うっうっ」
男は泣き顔でハルカから指輪を受け取った。ハルカは男の様子に少し戸惑っていた。男はハルカに抱きつこうとしたのである。さすがに男も抱きつくのをこらえたのだが。
「ありがとうよ!格好いい戦士よ!……僕の名前はロッコ。自分で言うのもなんだけど、ドンくさくて情けない男です」
失礼と思いながらも、ハルカは納得してしまう。痩せ型の体系に、顔はどちらかというと女顔という感じで、服も少し破けていた。けれど、人は良さそうだから、恋人がいるんだろうな、とも思った。
「僕はハルカ。アレフガルドを旅しているラダトーム戦士団の者です」
「ああ、そうでしたか!あ、お礼……」
「いいですよお礼なんて」
ふと指輪を見つけただけから、お礼はなくても大丈夫、とハルカは思っていた。しかしロッコは何かを思いついたようだ。
「あ、あなたに情報をお教えしましょう。マイラに、妖精の笛が眠っているという話を僕は聞いたことがあります。温泉施設の近くに埋められているとか。その妖精の笛は、不思議な力を持つ笛で、最近凶暴化したメルキドのゴーレムを落ち着かせる能力が
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