Chapter-2 第7話
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わしの知り合いの仕立て屋に頼んでおこう」
「え……あ、」
ハルカはリムルダール町長に言われてはじめて自分の衣裳がボロボロだと言うことに気がついた。あれ程痛い思いをして何故気付かなかったのだと苦笑いした。
夕方となり、水の街リムルダールの景色は美しい赤に包まれていた。
ハルカは宿屋に行く前に、大通りに面している仕立て屋に寄った。
「おお、お前がハルカか。実はここはラダトーム王室ご用達でな、ローラ姫のドレスを作った事だってあるんだぜ。お前さんのその鎧兜も任せときな。一晩で直す。代わりにこれを着るといい」
仕立て屋の男の言うことは本当である。ハルカが周りを見回すと、ラダトーム国家の紋章の入った盾や、国王から送られた認定証が飾られていたのだ。ラダトーム城にお世話になっているハルカが見ても、これは本物だ、と確信できる物である。
ハルカは男から、マントつきの服とズボン、丈夫な皮製のブーツを受け取った。
「一応守備力もあるぜ。まあ、町長さん曰く、お前さんは『休養が必要だ』と言っていたらしいから、どうでもいいかもしれないがな」
「ええ。まあ」
ハルカは麻布で仕切られた試着室で着替え、いつもの鎧兜とシャツとズボンとブーツを渡した。グローブはダメージが少なく、修繕の必要はないといわれたので渡さなかった。鋼の剣と鉄の盾はハルカの手元にある。剣はいつものように腰に挿している。
「ではまた明日来ますね。いつ頃がよろしいでしょうか」
「ああ、朝でかまわないぜ。なあに、仮眠は取ってあるから大丈夫だ」
歯を見せて大きく笑う仕立て屋の男につられてハルカも微笑んだ。
「では僕はこれで」
リムルダールの町は暗くなっても賑わっていた。しかしハルカはすぐに宿屋へと向かった。
(……悔しいな、やはりあの時は。……でも僕は決めたんだよ、ローラ姫を助けるまではラダトームに帰れないと、あのドラゴン、セサヴァーを絶対に……撃破する!!明日から鍛えなおす。強く、なる為に……僕は、勇者なのだから)
ハルカの足は力強く、リムルダールの地を踏みしめていた。
*
《キメラ便》……伝書鳩のようにキメラを用いて、手紙や軽い荷物を運ばせるもの。20年前(アレフガルド暦380年)から行われている。現在でも、人に好意的なキメラたちが人間たちを手伝っている。
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