Chapter-2 第7話
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「なっ…………お前……は……」
ハルカが受けたダメージは大きかった。言葉がかすり声になっている。そしてハルカの意識は遠のいていく。最後に聞いたのは、
「お前にはローラ姫を救出する資格はない。私の名はセサヴァー、ドラゴンだ……ただ、もう二度とこの声は聞けないと思うがな」
であった。ハルカは崩れ落ちるようにしてその場に倒れた。
何か湿った感触がする。……舐められているような?
「あ……ううっ」
馬が心配そうにハルカの頬を舐めていたのだ。そしてハルカは意識を取り戻した。
(僕は……生きているのか!……しかし体が痛い……そうかさっき……)
ゆっくりと体を起こしながら、ハルカは先ほど起こった出来事を思い出す。
(セサヴァー……ローラ姫を見張っているのか!そして僕はなす術も無く負けた……。……くっ……畜生!……僕はまだ弱いというのか!……)
悔しさのあまり唇を噛み締める。血が出るほど。
隣では馬が心配そうにハルカを見つめる。ハルカは我に返った表情で馬を見る。
「あ、ゴメンね。君に心配かけて。僕は大丈夫だから。あ、リムルダールに行かなきゃね」
そして笑顔で薬草を口に含む。完治ではないが、だいぶ体の痛みも引いた。
立ち上がり砂埃を払うと、再びリムルダールに向けて馬と歩き出した。
(……鍛えなければ!絶対に、ローラ姫を助けなければ!さもなければ、僕は竜王さえ倒せないことになる……!)
そしてリムルダールのある島へ出た。ハルカは少し痛む体を引きずりながら、十数体のリカントなどの魔物を倒した後、再び乗馬に戻った。
「さて、もうすぐだな。あんなことがあった……。今日はあそこで身体を休めるか」
そして走ること数時間後、リムルダールに到着した。
ハルカはもう一度馬にホイミをかけてあげた。そして街の奥にある大きな屋敷に進む。
何人かハルカと馬をじろじろ見ていたが、ハルカは全く気に留めなかった。
変な目で見られようと、そんな事はハルカにとってはどうでもいい事なのだ。
「おお、お前は確かラダトームから来た者か!あんな厳しいところをよく来た!魔物も凶暴だというのに、よくやった!後でラダトーム城に《キメラ便》でお礼と報酬を送らねば」
屋敷の近くに来ると、中年の小太り男が笑いながらハルカを出迎えた。リムルダール町長である。ハルカが思っていたより、陽気で気前がいい男だ。
「お前はなんと言う名前だ?ハルカと言うのか。ハルカよ、わしは褒美をお前にあげたいと思う。何でも良いぞ。高価な物をよこせでも良い」
「いえ、僕はただ、身体を休めるところ、それと栄養のある食事が欲しいだけです」
「なんじゃ、謙虚だな。では、宿屋に頼んで今日の宿屋代はタダにしておこう。そして食事もよいものを頼んでおくぞ。おっとついでに、お前さんのその格好、ボロボロではないか。
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