病み六花の自己中が解放される時・前編
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すぎだと。
そうだったのかもしれない。
涙ながらに叫んで去って行く六花の背中を追えなくて、マナはただただその場に取り残されていた。
あとで確認すれば、六花からはたくさんのメールが届いていた。
『もう、遅れるならちゃんと連絡しなさい(怒)』
『またどこかで人助け? もう時間は過ぎてるんだから急いでね』
『三十分過ぎたよ? まだなのかなー』
『もしかして、何かあった? いつもの人助けならいいんだけど……』
『ねえ、どうして連絡もくれないの?』
これほど多くのメールが来ていたのに、お婆ちゃんの容態に気を取られて、マナーモードの振動には気づかなかった。仮に気づいたとしても、救急車や病院の中で電波を飛ばすわけにはいかないから、連絡ができるタイミングは限られていたが……。
それでも、気づきさえすれば一報入れる機会くらいはあったはずだ。
『本当に事故でもあったの? だったら仕方ないけど……』
『何か連絡もできない状況なの? 無視してるわけじゃないよね?』
『雨降ってきたね。でも、待ってるからね?』
(こんなに六花を心配させていたんだね)
自分のしたことを思うと、後悔で泣けてくる。
『ねえ、もう一時間以上経ったよ? 寝坊でもした?』
『いつまで待ってればいいのかな……』
『ずっと立ってて足が痛くなってきちゃった。座って待ってるね』
『早くしないと、帰っちゃうよ? 少し冷えてきたし』
長い長い時間を待たされて、六花はこれだけのメールを書いていなければ、寂しくて仕方がなかったのかもしれない。
『何か怒ってる? だから来てくれないの?』
『私が悪い事したなら、教えてよ』
『ねえ、まだ? マナってば、いつになったら連絡くれるの?』
『マナ? 本当に今どこなの?』
『マナ、早く来て』
『会いたいよ。マナ』
『どこなの? マナ』
『生徒会長が時間を破りすぎだよ? マナさん。早く来なさい』
『マナ? そろそろ来るよね』
『もう一時間半。まだなのかな? マナさんは』
『いつになったら来てくれるのかな。それとも、マナはもう来ないつもり? そんなわけないよね……』
『マナが来るまで待ってるんだからね?』
『マナ? 本当に早く来て?』
『そろそろ二時間。早くマナに会いたいなー』
『マナさーん?』
『来て、くれるよね? 信じれるからね? マナ』
(本当にごめんね? 六花……)
マナの瞳から、雫が頬をつたっていった。
『もうびしょ濡れ。寒いよ、マナ』
「……ほんとにゴメン」
*
翌朝の学校には、六花の姿がなかった。
朝のホームルームで、風邪で休むとの連絡があったと、担任は言っていた。だけど六花が休んだのは、風邪だけのせいなんかじゃ
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