第二幕その八
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第二幕その八
「それでその人は若いのかい?」
「若いって?」
「あんたと同じ位かい?」
「いや、十歳は年上だよ」
パパゲーナは笑って言ってきた。ただしその顔はフードの奥で見えない。
「歳はね」
「ふうん、じゃあそれは誰なんだい?」
「あんただよ」
笑ってこう言ってきた。
「あんたなんだよ、それは」
「おいらだって?」
「そう、パパゲーノだよ」
こう彼に言うのである。
「あんたなんだよ」
「へっ!?」
ここまで聞いてやっとわかったのだった。
「おいらがかい?」
「そうだよ。私のいとしい人」
「決まったよ」
パパゲーノはここまで聞いてがくりと頭を垂れてだ。こう言った。
「試練を受けよう。もう喋らないぞ」
「ようこそ」
「試練を受けられているのですね」
ここでパパゲーノとパパゲーナのところにあの三人の少年達が来た。
「それは何より」
「それでなのですが」
少年達が話しているそこにタミーノも来た。少年達はここでタミーノとパパゲーノに対してあるものを差し出してきた。それは。
「この笛を」
「そして鐘を」
その二つをそれぞれ差し出してきたのである。
「どうぞ」
「ザラストロ様からです」
「そしてこれを」
「これもどうぞ」
今度はパンとワインであった。それを出してきたのだ。
「宜しく召し上がって下さい」
「そして今度御会いする時には」
「喜びが貴方達の勇気の酬いであるように」
そしてタミーノには。
「貴方には勇気を」
「目標は間近です」
タミーノはその言葉に静かに頷くだけだった。やはり喋らない。
「そしてパパゲーノ」
「貴方は黙るのです」
「いいですね」
彼には小言だった。そうしてだ。
パパゲーノは受け取ったそのパンを早速むしゃむしゃとやりだした。少年達はその間に何処かへと消えてしまっていた。
「さて、食べたら」
何時の間にかパパゲーナも消えている。二人だけである。
そして彼は食べながらだ。タミーノに声をかけるのだった。
「仰らないし。ああ、これは」
そのワインを飲みながらの言葉だった。
「美味いや。かなりいいや」
「ここなのね」
そしてここにパミーナが出て来たのだった。
「ここにおられたのね。神々のお導きね」
「・・・・・・・・・」
タミーノは彼女を見ても何も言わない。
「あの」
「・・・・・・・・・」
そのタミーノに声をかけるパミーナだった。
「どうして何も仰らないの?何かありましたの?」
「・・・・・・・・・」
やはり喋らない。顔を背けさえしていた。
「何故。これは一体」
その彼の沈黙の前に困惑し狼狽するばかりだった。
「どういうことなの?」
そして悲しみも感じて言うのだった。
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