序章 出会い
第12話 記憶の傷跡
[1/3]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
ここはとある森の奥深く。俺はこの森を“安らぎの森”と呼んでいる。その名のとおり、ここに来ると不思議と心が安らぐんだ。何でかは、俺にも分からない。で、俺がどうしてここにいるのかと言うと・・・
ア?「でぇりゃアアァァアッ!」
一言で言えば修行だ。
意外かも知れないけど、俺は手品師でもあり、魔道士でもある。5年程前からマジックに熱中しすぎて魔力が衰えちゃったんだ。今年からは手品師を辞めて、魔道士として過ごす事にしたんだ。つまり、この間のTrick Wanderlandでの公演が最後の舞台だったという訳だ。客も大勢来てくれてよかったよ。
ア?「やアアアアアアッ!」
だが、肝心の魔力は全く上がらず、10分程度で魔力が限界になってしまう。俺は呼吸を整える為、地面に仰向けになり空を見上げた。
鳥のさえずりが聞こえる。風が吹き、額に滲んだ汗を乾かしていく。
ア?「ハァ・・ハァ、こ、このままじゃ・・・ハァ・・ハァ、ぜ、全然・・ダメ、だ・・・ハァ、ハァ・・・ハァ・・・・」
その時、俺はある事を思いだした。
Trick Wanderlandでの公演が終わってすぐに、7〜8人ほどの観客と、なぜか背中に羽の生えた猫2匹がやって来た。その何人かが腕や肩、手の甲などにマークのようなものがついていた。俺の記憶が正しければ、間違いない。あれはマグノリアにある唯一の魔道士ギルド、妖精の尻尾のギルドマークだっ!
妖精の尻尾は噂に名高く、数々の依頼をこなしているギルドだが、数々の問題を引き起こしているギルドでもあり、評議委員も頭を抱えているお騒がせギルドだ。
でも、ギルドに加入している魔道士は皆、お互いを家族のように慕っていて、楽しく仲良く過ごしている。
ア?「家族・・・か。」
その時だった。
ズギッ!
ア?「うぐっ!・・・あぁ・・ぅぁぁ・・・・ぐわあああぁぁあああぁあああああっ!」
突然、右腕に強烈な痛みが襲ってきた。・・ま、また・・・かよ・・・!
その時、俺の脳裏に幼い頃の記憶が鮮明に蘇った。
小さな木の家に住む、楽しそうに笑う幼い頃の俺と父さんと母さんの姿―――――。
ドアを蹴破り、剣や銃、槍や斧を持ち、家の中に入って来た大勢の人間の姿―――――。
父さんと母さんに襲い掛かる大勢の人間の姿―――――。
必死に抵抗する父さんと母さんの姿―――――。
部屋の隅で怯え、震え、泣きじゃくる幼い頃の俺の姿―――――。
部屋中に飛び散る鮮血―――――。
床に倒れ込む父さんと母さんの姿―――――。
幼い頃の俺を殺そうとする大勢の人間
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ