暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは 〜優しき仮面をつけし破壊者〜
無印編 破壊者、魔法と出会う
18話:雄叫び 流れる涙は誰の為に
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ぅる、せぇ……ぐっ!」
士は腕に力を込めて立ち上がろうとするが、体の疲労でまた伏せてしまう。
トリスの言う通り、士はここに来るまで地上でウェザー・ドーパントとの戦闘、コンプリートフォームの使用、プレシアとの魔法戦で、士は魔力も体力も多大に消費していた。
「っ、そうだ…プレシアは!?」
先程目覚めたプレシアの事を思い出した士は、四つん這いになりながらフェイト達の方へ視線を向ける。
そこではプレシアが手をフェイトの頬に伸ばしていた。フェイトもそのプレシアの手を両手で優しく包み込んでいた。
「フェイト…ごめんなさい…」
「…え?」
「あなたに……母親らしいこと、一つも…できなかったわ…」
「「っ!?」」
その言葉にフェイトだけでなく士も驚く。
「母さん、何を言って…」
「何ふざけた事……言ってやがる!!」
フェイトがプレシアに話そうとすると、それを遮るように士が声を荒げる。そしてまた立ち上がろうと腕に力を込める。
「そんな事…これが終わってからでもいいだろ!」
「そうだよ母さん!これから何度でも…!」
士とフェイトがそういうが、プレシアは首を横に振る。
「いいえ…わかるのよ。それに…元々、長く生きられる体じゃ…ないわ…」
「それでも…母さんが側にいてくれればそれで…!」
「それから…あなた、確か…執務官だったわね」
「っ…」
フェイトの言葉もまともに聞かず、視線をクロノに向ける。
「今回の事件は…全て、私が原因よ…。この子…フェイトは何にも関係…ないわ…」
「っ!?」
プレシアのその言葉に、フェイトはまたも息を飲む。周りの士達も、プレシアの言いたい意味がわかった。
「さっきっから聞いてれば…ふざけた事抜かしてんじゃねぇぞ、プレシアぁ!!」
だからこそ、士は吠えた。
「まだ死なせねぇぞ……罪を償う気なら、生きて償えよ!!死んだって…なんにもなんねぇぞ!!」
だが、その叫びもプレシアは聞かずに、視線をフェイトに向ける。
「それと……フェイト…」
「っ、母さん…」
「あなたに…最初で最後の……私からの、お願い…」
弱々しくも…プレシアはフェイトに向け言葉を紡ぐ。
―――フェイトに向ける、願いを
「あなたは……私の分も、アリシアの分も……生きて……」
「っ……母さん…!」
その言葉に、フェイトは涙を流す。周りにいる人達も、その場で息を飲むなり、涙を流すなりしていた。
士も歯を軋ませながら顔を歪ませる。その拳は、強く…硬く握られていた。
「士…あなたも、さっきの事……頼んだわよ…」
「……あぁ…」
顔を士に向け、そういう。士は声を詰まらせながらも、プレシアの言葉に返す。
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