出会い
Trick07_それでよろしいのですか?
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言ってください」
笑顔で言ったのだが、明らかに『軽率な考えですよ』と副音声が聞こえる。
白井は恥じるように顔を伏せた。
「・・申し訳ありませんわ。軽率なことを言ってしまって。
そういえば、"A・T"(エア・トレック)とはなんですの?」
「昨日、私が足につけていた装置ですよ。簡単にいえば小型モーター付き
インラインスケートです。あれを使えば確かに追跡は可能ですが、
許可が必要なんですよ」
「許可、ですの?」
「はい、許可がなければ「いいってよ〜!!」」
いきなり声をあげたのはジュディス。全員がジュディスへと目を向けた。
「お母さんが使っていいってよ〜!!」
嬉々とした顔で手に持っている携帯電話をこちらに向けている。
「・・・・・ジュディスちゃん、まさか電話して聞いたのです・・か・・?」
笑顔が引きつった信乃が聞いた。間違いであってほしいと思っているのだろう。
「うん〜!! お母さんがね〜、『逃げた奴も消し炭にしろ!!』って
伝えてだって〜! 『これは命令だ!!』とも言ってた〜!」
「さっきの『狙いはジュディスちゃん』が電話越しに聞こえたんだね・・・」
信乃が苦笑いを浮かべた。諦めたように溜息をして
「親バカだからしょうがない、ですか」
そう言って信乃は背中から40センチ四方のケースを取りだした。
中を開くと、昨日足につけていたA・Tがそこにはあった。
「許可って、まさか学園都市統括理事会が信乃さんに許可してるんですか!?」
驚く初春。
「いいえ、許可がどうこうしているのはジュディスちゃんのお母さん、
≪氏神クロム≫さんだけです。学園都市統括理事会は関係ありません」
「ですけど、そんなすごい人が信乃さんに命令してるって、やっぱり信乃さんって
すごい人なんですね!?」
目を輝かせて言う初春。その目を見て白井は「また上流階級とか考えてますの?」と
つぶやいた。
「保証人の氏神クロムさんがすごいのは確かですが、私は偶然知り合っただけですよ」
ゆっくりとA・Tを着ける信乃。その動作がゆっくり過ぎる。
犯人は今の間も遠くい言っているのに、と白井は苛立ってきた。
「あの、信乃さん! 追跡可能でしたら早く追いかけてくださいませんこと!?
こうしている間にも犯人が遠くに言ってしまいますの!」
「大丈夫ですよ」
気にした様子もなく、装着し終わってゆっくりと立ち上がる。
「西折のおにーちゃん〜! ジュディは技ていうのが
また見たいの〜! お願い〜!」
ジュディスがわがままを言ってきた。御坂、佐天、初春の3人は
何を言っているのかわからずに首をかしげた。
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