第7話 最後は封印して終わりですよ?
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と言うか、感覚が違うと言うか、匂いが違うと言うべきか。
上手く説明出来ない何かが、その他の転生者。昼間に出会った二人とは違うように美月は感じて居たのだ。
ただ……。
傷ひとつ無い玉の肌に浮かぶ紫色の痣から感じる胸騒ぎが、より現実味を以て美月を不安にさせる。
そう。元々、紹介状を受け取り、その内容を見て召喚に応じた訳では無い相手を無理に召喚して仕舞った為に、何か悪い流れを作り上げて、彼女の身体に、正体不明の不安を喚起させる痣を作り上げるような結果と成ったのではないのだろうか。
美月はそう考え始めたのだ。
「だったら、ハクちゃんは、何処でその神仙の術を会得したの。例えば、転生した時に神様に貰ったとか、そう言う類の物なの?」
そう問い掛ける美月。但し、これは、半ば否定される事を想定した上での質問。
何故ならば、ハクが語った転生のシステムが、あまりにも通常で語られて居る思想のままだったから。
この箱庭世界は、イレギュラーが集まる世界。多くは前世の記憶を有したまま神に転生させられた転生者たちが、スキルアップを行う為に創り出された世界。
しかし、ハクが語ったシステムでは、その転生の神が関わる可能性が薄い、通常の輪廻転生が行われる世界の転生のシステム。
そもそも、生きとし生けるモノすべてが転生を果たすのならば、前世の記憶など邪魔にしかならないはず。
何故ならば、人間。いや、余程知能が低い生命体に転生しない限り、一度経験した死の恐怖から、同じ失敗を繰り返す事は無くなる。
死の恐怖と言うのは、どんな恐怖よりも心に深い傷を負わせる。
そして、一度失敗をして死を迎えた記憶を、再度、繰り返す存在はいない。それが、学習と言う物だから。
その場合、生存競争の激化を招く可能性が非常に高く成るはずです。
何故ならば、生存競争と言う物はそう言う物。何物かの死によって、何物かの生が紡がれる物ですから。
「一応、生まれて以降に修行を行ったのは事実ですが、転生をした際に、この能力を神が与えてくれたかどうかに関しては判りません。そもそも、私は前世の記憶も持っていなければ、転生をした際の記憶も持ってはいませんから」
事実を告げる者の口調で、あっさりと答えたハク。口調は普段のまま。
これはつまり、ハクの能力は神に授けられた能力の可能性も有れば、それ以外の可能性。……例えば彼女の血脈に含まれる特殊な働きや、彼女自身の修業の賜物の可能性も有る、と言う事。
どうやら、今、この場でハクの状況や不思議な。普通にこの箱庭世界にやって来る転生者との違いが有る理由を確認する事は出来ないと言う事。
美月はそう結論付けた。
未だ、彼女の本名が判らない事や、何故、直接招待状を受け取っていない
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