第9話「トイレへ行けない!」
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った。
「ああ、あなたは! 朝はありがとうございます!」
プリントをぶちまけたドジな子に出会い、お礼を言われた。
嫌に時間を消費しながらやっとの事でトイレへ辿り着く。
さっそく個室へ入ろうとするが……。
「今度は使用中か」
個室の戸は全て閉まっていた。
使われていないトイレの戸なら、普通は開きっぱなしになっている。戸が閉まっているということはイコール誰かが使っているということで、実際に中から人の気配がした。個室同士で中から会話する声が聞こえた。
空くのを待つべきか、一階のトイレへ行くか。
迷ってばかりで時間を潰すわけにもいかず、麗華は直感的に素早い決断を下す。今すぐ一階のトイレへ向かうことにして階段へ向かう。
――まだ時間はある。次こそ。
三連続でトイレが使えないなんてことは、さすがにないだろう。はやる気持ちで階段を駆け降り、一階廊下へ到着する。
すると今度は部員の男子グループとばったり出会い、男子達はやけにニヤニヤとしたいやらしい顔つきで麗華を取り囲む。
「黒崎先輩じゃないですかぁ」
麗華は警戒した。
始はいない。一年生と二年生が固まった五人のグループが麗華の行く先を封じ、何故だか詰め寄るようににじり寄って来る。いつもなら廊下ですれ違っても普通の挨拶や会釈で終わるものが、今日に限って様子がおかしかった。
「何? どうしたの? みんな」
早くトイレに行きたいのに、麗華は緊張の面持ちで五人の顔を見てまわす。
「俺ら、見ちゃったんです」
「いやぁ、すごいッスねぇ。まさか黒崎先輩が……ねぇ」
一人が軽い調子で言いながら、隣へアイコンタクトの視線を送る。すると受け手になった男子達は次々に頷いて、なめまわすような目で麗華の胸や太ももに視線を送ってきた。
「医学用のホームページだったけど、あれじゃあ単なるエロ画像じゃないですか」
医学、エロ画像。
二つのキーワードで連想されるものといったら、担任に見せられたあのホームページをおいて他にはない。そして、五人全員ともがいやらしい笑みを浮かべている。一体どういう事態になってしまったのか、想像できない麗華ではなかった。
いくら本名が非公開になっていても、顔写真が出ているのだ。最初からこうなる可能性などいくらでもあった。
しかし、いざそうなると起こっている事態が信じられず、麗華ともあろうものがこの状況を受け入れきれない。混乱気味になってオロオロし、らしくもない焦った表情になっていた。
ずっと我慢をしていたせいで精神的な疲弊が重なり、いざ解消しようと思えば最悪の事態を相手に足止めを受けたのだ。ただでさえ検査で受けた悪夢を引きずっていたのに、いつまでも本来の調子でいられるはずがなかった。
信じられない気持ちでいっぱいになり、麗華は弱弱しい表情
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