第9話「トイレへ行けない!」
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「ていうか、この色合い綺麗過ぎない? え? 黒髪なのに、光の具合で青がかってたり紫がかってたりするんだけど!」
「え? すごーい! 芸術じゃん!」
二人は麗華の髪に夢中になってテンションをあげていく。
「あの、ちょっと……」
麗華が困っているのにも気づかず、
「どうしたらこんな髪になるんだろー」
「無理無理、ここまで綺麗になれるのは麗華様だけだから!」
「だよね〜」
麗華の周りではしゃぐことに精一杯だ。
好意を持ってくれている子に対して印象が悪くなりそうで避けていたが、仕方がないので麗華ははっきりとした強い口調で跳ね除けることにする。
「そろそろ、お手洗いに行きたいのだけど」
ようやく麗華の困り具合が伝わり、二人は若干申し訳なさそうな顔になる。
「あ、ごめんなさい!」
「またお話ししようね」
やっとの事で解放され、麗華は足早に進む。
早くトイレへ。
それだけの思いで廊下を渡り、角を曲がる。
「きゃあ!」
プリントの束を抱えて走っていた女の子とぶつかって、プリント全てが宙を舞ってバラけてしまう。ホームルームで配るものでも運ぶように言われたのだろう。プリントの内容は学校の諸連絡を書いた学校だよりだった。
「ごめんなさい! ごめんなさい!」
まさにドジそうなその子は深々と頭を下げ、あわててバラけたプリントを拾い出す。
「こちらこそ、不注意だった」
放っておくわけにもいかず、麗華も一緒になって拾い始める。素早く集めて束ねなおし、その子に手渡した。
「ありがとうございます! ありがとうございます!」
その子は二度もお礼を言って去っていった。
運の悪い時間のロスで、もう八時二十分を過ぎてしまった。朝のホームルームは二十五分からなのに、これでは疼きを沈める暇など当然ない。
「仕方ない、か」
麗華はアソコの濡れを気にしながらも教室へ行くしかなかった。
これで朝の余裕ある時間は逃したので、残るは昼休みか放課後しかない。それ以外の休み時間はものの十分程度だから、ゆっくりと自慰などしている猶予はないのだ。
そうなると、四時間目までの授業を麗華は耐える羽目になる。始終アソコを手で押さえたり、内股を引き締めながら授業を聞くことになった。
そんな辛い午前も終わり、やっとの思いで昼休みを迎える。
――今度こそ……。
麗華は授業が終了するなりすぐに教室を抜け、トイレへ向かおうとする。
「おお、麗華」
顧問の教師と出くわし、五分ほどの立ち話になる。
「清掃中って……」
向かった先のトイレが使えなくなっていたので、二階へ降りて別のトイレへ向かう。
「あ、麗華ちゃんまた会った!」
「よかったら一緒に弁当食べない?」
朝の元気な二人組みに捕まり、逃げ出すまでにまた時間がかか
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