第9話「トイレへ行けない!」
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つきがお尻を意識しているように思えた。
「麗華先輩って、すごくスタイルいいですよね」
始は腰横を掴んで撫でてきた。
「そうかしら」
「腰は引き締まっているし、肌付きも柔らかくてすごいです」
「だと嬉しい」
マッサージの指先が骨盤の骨を押し揉み、背骨の付け根をほぐしていく。その指はだんだん下へ下へ動き、尾てい骨のすぐ近くまでやってきた。今にもお尻の肉まで手がやって来そうで、麗華は緊張する。
しかし、それ以上手は降りてこない。あくまでマッサージを頼まれているだけなので、始としてもさすがにお尻を触るのには抵抗があるのだろう。骨盤周辺に手は留まり、お尻ギリギリのエリア一帯が重点的に揉みこまれた。
「先輩、くつろげていますか?」
「もちろん。このまま続けて」
手がお尻の近くを離れた。まだほぐしていなかった二の腕へいき、肩から肘にかけてを踊るような指つきで揉みこむ。手首までほぐされ、それから指がうなじまでやって来た。
――ゾクゾクする。
首を優しく撫でられ何ともいえない感触が背筋を走り、仰け反りたいような心地を覚える。指の感触が染み込み皮膚がしだいに気持ちよくなっていき、皮膚の表面が快楽に喜ぶ。
ずっと浸っていたい。
だが、アソコを沈めなければ……。
「ありがとう。このくらいでいいわ」
「そうですか? じゃあ、また頼んでくださいね? 先輩」
むしろ始の方がせがむような顔つきだったのは、女の子の肌に触れることがよっぽど面白いからなのだろう。
すぐにトイレへ。
そう思って早足で歩くのはちょうど八時、まだ三十分近くも猶予がある。
普通の自慰ならもう少し欲しいところだが、ただ疼きを止めるには充分すぎるほどの時間だ。
だが、すぐに麗華は呼び止められる。
「あ、麗華ちゃん!」
「おはよー!」
女の子二人が駆け寄ってきた。他クラスの子だ。背が高く容姿も綺麗な麗華だからか、前々から同性のファンがいた。彼女達は数いる女の子ファンの二人で、廊下で顔をあわせるたび、声をかけてくることが多かった。
「全国大会優勝したんだってね。おめでとう!」
クラスが違うために、こういう言葉をかける機会がなかったのだろう。
「あ、ありがとう」
「試合見てたよ? 麗華ちゃんの動きとかすっごい格好良かった」
この気に麗華とたっぷり喋っておこう、という腹積もりなのだ。当の麗華の様子に気づくことなく、二人はとにかく喋り続ける。
「相手瞬殺だったよね〜。麗華ちゃんって、やっぱ強すぎ!」
「いえ、向こうも充分強かったわ」
「うんうん、憧れちゃうなぁ〜。髪触っていーい?」
「え? あの――」
一人が遠慮なく麗華の後ろへ回り、しなやかなポニーテールの尻尾を掴む。もう一人も同じように髪を弄ってきた。
「やっぱサラサラ〜!」
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