第7話「検査のその後」
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中からすっかり消えていた。
もっとも、一時的な措置にしかなりえない。
自室に戻る頃にはアソコの蒸れが気になって、そこへ意識がいってしまった。
――また湿ってるのか?
いや、汗で蒸れただけだ。
麗華は自分に言い聞かせながら朝食を済ませ、セーラー服に着替えて学校へ行く。家を出たのは実に朝の七時、徒歩で十分もかからない学校へ出るには早すぎる外出時間だが、それほど早く学校へ行くのは剣道部の朝連があるからだ。
部室の道場へ着けば、畳の上には既に打ち合いや素振りを始めている部員の面々がいた。麗華も更衣室で胴着に着替え、同じく練習に参加する。
最初は素振りをした。
竹刀さえ振っていれば、性の疼きだろうと吹き飛ばせるはず。麗華は自戒を込めて竹刀を振り上げ、黙々と振り下ろす。風の裂けるような空気音が何度も響き渡っていった。
そうした時だ。
「おはようございます!」
元気に挨拶をしてきたのは二年の後輩、竹内始だ。やや小柄で童顔の始は男としては可愛く見える部類で、なついた子犬がエサでも待つような眼差しを麗華に向ける。
「おはよう。始君」
挨拶を返すと、始は黙って側で素振りに打ち込む。
――いつも精が出る奴だな。
何度か竹刀を振っているうちに、始はもう集中力を高めていた。己の世界に深く潜り込んだかのように、一心不乱に竹刀を振り続けている。少し声をかけがぐらいでは気づかないほどに始は練習に夢中になっていた。
始は普段からそうだ。
毎朝のように麗華へ元気に挨拶し、近くで素振りをし始める。練習試合とあらば麗華に相手をしてもらいたがったり、太刀筋についてもアドバイスを貰いたがったり、とにかく麗華になついている。
彼が剣道部への入部を決めたのも、麗華がきっかけだと言っていた。
『最初は何の部活がやりたいかなんて決めてなかったし、そもそも帰宅部でもいいかなって思いかけてたくらいなんですが。でも、麗華さんの動きって素人にもすごさが伝わってくるくらい物凄くて、感動しちゃったんです! で、憧れてしまいました!』
一年前の入部当初。
剣道部を選んだ動機を聞けば彼は元気にそう答えた。他にも部員がいる前で、顧問や先輩達の並んでいる前で恥ずかしげもなくだ。あまりに堂々と自分を理由にされ、逆に麗華の方が恥ずかしくなった程だった。
それから今に至るまで、始はずっと麗華になつき続けている。エサでも与えればはしゃいで喜ぶ姿が簡単に想像できる。
始が麗華に好意を抱いているのは確実だ。
それがどういう部類の好意なのか。恋仲にでもなりたいのか。それとも、姉か何かとして慕っているだけか。あるいはヒーローに憧れるような感覚で麗華に憧れているのか。多少計りかねているところもあるが、ともかく麗華は始に好かれていた。
もし、始が麗華の痴
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